「不完全な自分が嫌い、許せない」「本当の自分を人に知られたくない」「できることなら人生をリセットしたい」……そんな気持ちにおそわれたことのある人は大勢いるでしょう。なぜなら、それは少しも珍しい体験ではないからです。
私たちは思春期を迎えるころから、心身ともに変わっていく自分≠実感します。自分が自分でなくなるような心もとなさ、理想通りに変われないことへの不満、この先どうなるのかという不安を抱えて、大なり小なり自己嫌悪に陥るものなんです。これはだれもが通過する人生経験です。
このだれもが通る道の中で、それまで味わったことのなかったネガティブな感情……失望、嫌悪、孤独、嫉妬、恐怖、不安、疑惑、不信、苦悩、渇望など、あげればキリがありませんが、それが嵐のようにおそってきます。そして、徐々に自信を失っていくんですね。
このどん底から立ち直る時間は人によって違いますが、友だち同士でモヤモヤをシェアすると、孤立するよりは早く解決できます。というのは、「自分だけじゃないんだ」と勇気を得たり、「あなたにはこんないいところがあるよ」と励ましてもらえるから。
あなたは「本当の自分を知られたくない」と内にこもったことで、苦しみを抱え続けているようですね。今は、ネガティブな感情をなめ尽している気分かもしれませんが、人生を長い目で見れば、今の状態は少しも悪くないんですよ。
そのわけを説明する前に、あなたに理解してほしいことがふたつあります。
1つ目、私たちが人生をかけてすることは、「自分を精神的に成長させて幸せに生きる」ことです。自分が幸せに生きられるようになってこそ、ほかの人を幸せにできるからです。それが人生の目的ならば、そこに「乗り越えられない試練」や「意味のない苦しみ」は起こるはずがないことをわかってください。
2つ目、私たちはポジティブな感情を知るために、最初にネガティブな感情を体験するということです。喜び、感動、平和、感謝、幸福感など、ポジティブな感情はすべてネガティブな感情の対極にあります。もしも孤独感を知らなかったら、一体感を得ても喜びがわかないでしょう。その意味でネガティブな感情は「必要悪」なのです。
今あなたがなめ尽している不幸感は、必要なものだとわかりましたか? またそれは、人の痛みを思いやることのできる人間になるための貴重な体験でもあるのです。かといって、ネガティブな感情を長引かせる必要はありませんから、早く立ち直りましょう。
まずやってほしいことは、あなたが自分につけた「不完全な人間」「いやなことを考える人間」「愛される資格がない人間」といった負のレッテルをはがすことです。自分のことを「こういう人間」と決めつけないで、自分を好きになりたいなら、「好きな自分になる!」という意志をしっかり持ちましょう。
あなたが味わいたい感情は、喜びや楽しさでしょう? では、身近にある小さな喜びを必死で探してみてください。それを探せたら、探せたことを感謝しましょう。死にたいなどと思って現実から逃れようとせず、負のレッテルはがしを全力でやることです。
次はこれまでと違う行動をしてみましょう。ポジティブな自分だったらどんなことをするかと考えて、実際にそれをやってみるのです。明るいメロディを口ずさむといった小さなことから、好きな人に連絡してみるといった勇気のいることまで、やれば変わります。やり続ければ、ウキウキ感がよみがえって、必ず楽しく生きられるようになりますよ。