過去の恋愛を思い起こさせるものに触れたとき、たとえば手紙を目にしたり音楽を聴いたりした瞬間になつかしさが込み上げ、心がタイムスリップするのはよくあることです。10年という歳月は頭の中にあるだけで、感覚には時間の観念がないからです。
そのときただなつかしむだけでなく、当時の自分の未熟さをつくづく感じると"後悔の念"がわいて、「できることなら今からでもあやまりたい」という気持ちになることがあります。そこに「すごく好きだった」「あんなに愛されていたのに」という想いも加わり、あなたは今さらどうしてこんな気持ちになるのかわからないくらい心がかき乱されたようですね。
今回の体験にどんな意味が隠されているのでしょうか。それを理解できたら、きっと混乱した心を整理できるでしょう。その体験の意味を先に言うと、「成長して愛が深まった自分を祝福することが大切ですよ」ということなのです。
人間がさまざまな体験を積み重ねる"究極の目的"は、自身の愛に目覚めるため。そして、その愛を深めるためです。それができれば、ほかの人のことも自分のことのように愛せるようになって、真の幸せを享受できるからです。
別の表現をすると、愛するとはどういうことかを少しでも早く学べるように、人生には新たな出来事が次から次へと起こるのです。けれども私たちは、いつも目先のことに心を奪われて、過ぎたことへの後悔や起きてもいないことへの不安に襲われがちですよね。
だからときどき立ち止まって、冷静に"究極の目的"について考えてみる必要があるのです。なぜなら、そこで本来の自分に立ち返ることができるから。自分を見失わなくてすむからです。
今回の体験は、あなたが10年間でいかに成長したかを教えてくれたんですよ。私たちは心が成長すればするほどエゴの動きがよく見えるようになって、自己正当化することや、エゴに振り回されて行動することが減っていきます。その分、相手の気持ちを思いやれるようになって、相手の立場を尊重できるようになるんですね。
つまり、自分が傷ついた体験を思い出したときに、相変わらず被害者気分や怒りなどの嫌な感情がよみがえるあいだは、まだ心が成熟していないということ。エゴを置いてつらい体験を振り返ることができるようになって、ようやく相手の痛みがわかり、許すことや結果を受け入れることができるようになるのです。
あなたは今回のことで自身の成長を確認しました。次にすることは後悔や詫びではありません。することは2つ。まず"感謝"です。自分とかかわって成長の機会を与えてくれた人に心から感謝しましょう。彼への想いが感謝一色になったら、彼の幸せをそっと祈れるようになりますよ。
もうひとつは"称賛"です。ここまでがんばった自分をうんとほめてください。目覚めた愛を大切に育てていけば、これから出会う人と素敵な恋ができるから。そのためにも、さらに成長できることを信じて自分を応援しましょう。
どんな恋愛も、そのときの自分を反映した掛け替えのない人生経験なのです。いわば、心の財産です。そう思って2つのことをしっかり胸に刻み、前を向いてハツラツと生きていきましょう。