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カウンセリングメッセージ

Vol.6 「いつまで悲鳴をあげるの…私の心」

From 寂しがり屋な猫さん

私は37歳で3人の子を持つ母子家庭です。いつからか心が悲鳴をあげるようになりました。声が出なくなったり、胸が苦しくなったり、寂しくて大声をあげたり……心療内科で薬をもらって落ち着いたこともあったのですが、またすぐ違う症状が出て別の病院へ。そのくり返しで10年たちました。今も人の視線が気になって落ち着かない、考えると頭痛がとまらない、不安で物足りない、寂しいままです。薬の種類がだんだん増えるのに症状は改善されず、いつになったら治るのか全然分からなくて、仕事も家事も思うようにいきません。子どもの世話が負担になり、上の子2人を実家に預けて今は末の子と暮らしています。毎日、病院を変えようか、仕事を変えようかと悩んで、暗闇の中をさまよっている状態です。唯一、先生の本を読んでいるときが現実を忘れさせてくれる時間です。こんな私ですが、何か答えていただけますか?

 大きな苦しみに耐えて、10年間よくがんばってきましたね。心の病は、現状を緩和することはもちろん大切ですが、根本原因と向き合って傷口が開いたままの心の傷を癒すことが、新たな自分に生まれ変わるためには必要不可欠だと思います。

 あなたが母子家庭になったいきさつはわかりませんが、パートナーを失う過程で受けた心の傷がそのままになっていませんか? 心を八つ裂きにされてボロボロのなったことへの怒りを封印していませんか? もしかすると、その怒りがさまざまな形に転じて「心が悲鳴をあげるような」症状を引き起こしているのかもしれません。

 もう一度、冷静に当時の痛みと向き合ってみましょう。10年前、あなたは女性としての自信と、人間としての自尊心を根こそぎ奪われるようなつらい体験をしましたね。その自分を責める必要は少しもありません。だれの人生にも「そんなはずじゃなかった」と思うことは起こるし、そのときはそれが精一杯だったのだから。大事なこと(=人生の課題)は、過去の痛みからいかにして立ち直るかなのです。

「何がいけなかったか」「だれが悪かったか」は関係ありませんよ。過去にとらわれて「自分はダメ人間だ」と決めつけて、「自分の価値を否定する」ことが問題なのです。そんな気持ちに陥りやすいことはよくわかりますが、勇気を出して"自己否定"を今すぐやめることが重要なのです。

 もう1つ、あなたの中にはこの10年間に「私がよくならないのは病院のせい」という気持ちが生まれているようですね。何かのせいにしなくてはいられない苦しみの中で無意識にしてしまうことですが、これも意識して今すぐやめましょう。

 これらのことを続けている限り、現状を変えることはできないから。つまり、表現を変えれば、これらのことをやめさえすれば、新しい一歩を踏み出せるんですよ。やめるのはあなたの意志、あなたの気力、あなたの生きようとする力です。

「本気でやめる」か「やめる気はない」のかを自分の胸に尋ねてみてください。そして「本気でやめる!」と決意したら、どんなに苦労しても意志を貫きましょう。あなたは痛みを背負いながら会社に勤め、子育てもしています。きちんと社会生活を営んで責任を果たせる人が、自分の人生の責任を果たせないわけがありません。きっとできます! 

 あなたは、長いあいだ自分を見失っていただけです。さあ、本来の自分を取り戻しましょう。私が指摘したことを本気でやめて、今自分の手元にあるものや人に感謝することを必死になって続けてください。そうすれば、つらかった時間はこの喜びのためにあったのか……と思えるときがいつか必ずやってくるから。

 途中で心が折れそうになったら、声を出して何度もこの言葉を唱えましょう。『自分を救うのは自分しかいない。私はどんな自分も許します。私は今の自分を受け入れて無条件の愛を注ぎます。それができることを心から感謝します』。これはアファメーションといって、心を原点に帰して気力をよみがえらせるパワフルな方法です。

 子どもたちはとても敏感ですから、母親の苦しみを感じていないわけがありません。そして、あなた以上に寂しい思いをしています。もしあなたに心からの笑顔が戻ったら、どんなに喜ぶことでしょうか……。あなたが自分への愛を取り戻すことは、母として子どもたちへの深い愛を取り戻すことでもあるのです。

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Last Updated: 2016/07/17