いつも感情を抑えつけて、ずっと我慢して、心がいっぱいいっぱいになってしまったんですね。思いのたけをぶちまけて、よく相談してくれました。あなたの「死にたい」は、私には「幸せに生きたいから助けて」という心の叫びに聞こえます。
実は私にも3歳下の妹がいて、幼いころはあなたと同じことを思いました。「お姉ちゃんだから」と言われると腹が立ち、悲しくなって親を恨みました。でも、大人になって理解したことは、親は、弱い立場の妹を思いやれる子に育てようとしたけれど、児童心理を知らなかったために、上の子の心を傷つける言葉を使ってしまったということです。
あなたもその部分では親を反面教師にして、「自分が嫌な思いをした言葉は、どの子にも絶対に使わない」と心に決めればいいんですよ。今あなたのまわりにいる人たちは、親も教師も同級生も、あなたがどういう大人になりたいかを決める〝教材〟になってくれているのです。
長い人生の中で、10代は自己を確立する時期です。ベースになる〝生きる価値観〟を自分で考えて選ぶために、あえて「自分をいじめてもなんにもいいことはない」とか「こんなふうに考えるとますますつらくなる」という体験を重ねている、と考えましょう。
そのさなかに「死にたい」と思うのは、ままならない現実から逃げ出したいという気持ちが言わせているだけで、本当は、自分に自信を持ってイキイキ楽しく生きられるようになりたいのでしょう？ その〈本音の願望〉を素直に認めましょう。
本音から目を背けているあいだは一歩も前に進めませんよ。この自分以外、自分はどこにもいないのだから、自分が今抑えつけている願望と向き合ってこそ、あなたははじめて生きる価値観を選び直すことや、現実を変えることができるのです。
『心を整理して本音と向き合う』方法を伝えますね。ノートを用意してください。ページの中央に縦線を引いて、左側に〈いやな気持ち〉を思いつく限り書き出します。たとえば「もう我慢はいや」「自信が持てないのはいや」「楽しいことがないのはいや」「人に嫌われるのはいや」などなど、過去の出来事でもかまいません。
次は、右側のスペースに、その気持ちをどうしたいのか〈本音の願望〉を書き込みます。「もう我慢はいや」の横には「もっと自由に自分を出したい」、「自信が持てないのはいや」の横には「等身大の自分でいいと認めたい」、「楽しいことがないのはいや」には「楽しいことを見つけたい」、「人に嫌われるのがいや」には「人に嫌われてもいいと思いたい」というように。
最後に、右側の文章の語尾を「～しよう！」に変えて、新しいページに書き写します。例でいうと、「もっと自由に自分を出そう！」と書いて、その文章を読み上げるのです。これが〈自分への応援〉です。こうして毎日〈いやな気持ち〉〈本音の願望〉〈自分への応援〉をどんどん書き加え、全文を声高らかに唱えましょう。
声に出して唱えることで、決意表明が耳からも入って脳に上書きされます。それが自分の価値観を決定付け、どうなりたいかを明確にし、行動を変えていくのです。こうして、あなたは好きなように自分を育てていくことができるんですよ。それを自力でやるから、自分に自信を持てるようになるのです。
未来には、あなたがまだ知らない幸せがたくさん待っています。今はわからないと思うけれど、人生には意味のない（＝幸せに結びつかない）体験は、ひとつもありません。そのことを信じて、今は一生懸命、自分を応援しましょう。
