あなたがこれから幸せな人生を歩むために勧めたいことがあります。それは、当然と思われがちな考え、つまり常識≠横に置くこと。ここでいう常識とは、「結婚したら添い遂げるべき」「子どもと母親を引き離すべきではない」「子どもに何もしてあげられない母親は不幸」という考えです。
そう考えるのは間違いだということではないんですよ。今あなたは自分のなかにある常識に心を縛られて苦しみから逃れられなくなっているから、思い切って「発想を変える」ことが大事だと言いたいのです。
最初に、「結婚したら添い遂げるべき」について。そう思っているあいだは、敗北感や挫折感から抜け出せません。さらに自分を責める感情もついて回るから苦しいんですね。発想を変えましょう。結婚相手は、お互いが乗り越えるべき課題≠提供し合う相手です。だから、その役目がふたりのあいだで果たされれば「縁」はなくなるのです。
17年間が長いか短いかではなく、離婚に至ったということは、あなたには「ひとりになって乗り越えるべき課題がある」ということなんですね。それは、あなたの魂が計画してきたこと。だから今は、自分が乗り越えるべき課題は何なのかを一生懸命考えましょう。
次は、「子どもと母親を引き離すべきではない」について。これも常識にとらわれず、まったく別の視点から眺めてみましょう。子どもたちの魂は、あなたを母親に選んで生まれてきました。母親と離れて父親の実家で育てられることも、彼らの人生計画のひとつなのです。
だから無闇に子どもたちに同情したり、心配することはありません。自分を責めず一心に応援しましょう。子どもたちが持って生まれた人生を切り開く力≠信じて、陰ながら愛を送ってください。その愛は、子どもたちの心を見えないところで支えるから。
最後は、「子どもに何もしてあげられない母親は不幸」について。そう考える背景には、母親としての罪悪感が潜んでいます。罪悪感は足かせとなり、幸せに生きようとする心に重くのしかかります。それで悲惨な目に遭った自分をあわれみ、今の状況をうらみたい気持ちになるんですね。
あなたは「もうないもの」や「できないこと」ばかり見ていませんか? 長年、あなたは母親としてきちんと子育てをしたから長男は会いにきてくれるんですよ。下の子どもたちも、お兄ちゃんから母親の気持ちを伝え聞いて、自立したらきっと連絡をくれると思います。
いつか必ず再会できる……そんな楽しみな未来があるでしょうか。待ちに待ったその日、ひとりの人間として立派に生きている姿を子どもに見せたいと思いませんか? 立派とは、幸せに自分らしく生きているということ。趣味を持ち、友を持ち、それについて明るく楽しげに語れるということです。
この世界のどこに、母親の哀れな姿を見て泣き言を聞かされ、失望しない子どもがいるでしょうか……。それだけは避けたいと思いませんか? 子どもたちを愛すればこそ、あなた自身が成長して幸せでいることが何より大切なのです。
その姿が、子どもたちへの暗黙のメッセージになるからです。「あなたたちの人生にも思いがけないことが起きるかもしれないけど、何があっても苦しみを乗り越えて、自分の力で道を切り開くのよ。お母さんにもできたんだから、大丈夫よ」と。
さあ、涙をふいて顔を上げましょう。そして、堂々と喜びを求め、だれよりも幸せになってください。