一般的に、妻が精神的に夫以外の人に依存するのは、夫婦関係に根深い不満を抱えている場合がほとんどです。その反動で、娘に過干渉になったり、逆にすがったりするのです。今のお母さんとあなたの状態を癒着≠ニ言います。
癒着という言葉、聞いたことがあるでしょう? 手術後に組織と組織がくっついてしまったときや、企業と政治家がくっついているときにも使われます。心理学では、お互いが(今回は母と娘)精神的にくっついて自律できない状態を示します。
すると、子どもはどう感じるかというと、何かにつけて(たとえば結婚問題や職業など)「親のせいでこうなった」という気持ちをぬぐい去れなくなるんですね。そして、自分で自分の人生を切り開こうとしなくなってしまいます。
まず、あなた自身がその状態にあることを自覚してください。何もがっかりすることはありませんよ。癒着していることに気づかず、そのまま親の人生を背負い込んでいる人々が大勢います。なぜなら、それは一見親孝行のように見えるからです。でも、先々にやってくるのは「親のせいで好きなように生きられなかった」という虚しさなのです。
あなたはすでにその虚しさを感じ取っていて、それが胃痛になって表れているのでしょう。それでもあなたは「かといって今さら母を見捨てられない」と思っているはず。じつは、それがお母さんをますます依存的にし、あなたをどんどんあきらめモードに追いやっているんですね。これが癒着です。
あなたは「婚期を逃した」「それほど好きでもない人と結婚する気にはなれない」と思っているようですが、一番望んでいることをあきらめてはいけません。「私は本気で人を好きになって、その人と結婚する!」と宣言して、それをこれからの人生の目標にしましょう。
不安な顔をするお母さんには「私が幸せな結婚をして孫を抱かせてあげるから、楽しみに待ってて」と笑顔で言えばいいのです。今まで結婚できなかったことを親のせいにしていつまでも引きずるのか、あるいは自分の意思で新たな人生を歩きはじめるのか、それはあなたの自由、あなたの手に委ねられているんですよ。
自分の意思で癒着状態から脱して、自分を幸せにすることにもっと心血を注ぐ。それは親を見捨てることとは違います。親の内奥にある願望、【娘が喜々として幸せな一生を送ること】を実行するためなのです。
お母さんは、娘には娘の人生があると頭ではわかっていても、心に穴が開いているのでついすがりたくなる。けれど、伴侶がいながら寂しいのはお母さんの問題なのです。あなたは、母親を労わりつつも「親に流されないで生きる」ことをしっかり選ぶ必要があります。だれも、人の人生を肩代わりして生きることはできないのですから。
ひとりひとりが自分の人生を(親は親の人生を)自己責任で生きていくしかない。それを納得することは、あなたが自己責任で自分の人生を切り開く覚悟をすることでもあります。自力で幸せになるとハラをくくれば、きっと物事が動きはじめますよ。
家を出るか出ないか、出会いを求めてどんな行動を起こすかなど、今の自分にできる最良の方法を思いつくでしょう。それを決行してあなたが笑顔を取り戻すことが、お母さんの心にも、顔にも、笑顔をもたらすことになるのです。