「1対1」なら普通に話せるのに「1対グループ」は苦手と感じてしまう原因は、やはり幼少時代の体験にあるようですね。疲れて帰宅する母の顔色をうかがっていつもいい子でいたあなたは、頭の中に「いい子」=「相手に合わせる」=「自分を受け入れてもらえる」という図式を作り上げました。
けれど、相手がグループの場合は、ひとりひとりに合わせることは不可能です。だれに対しても「いい子(人)」でいられなくなったあなたは、「全員に合わせられない自分はグループに受け入れてもらえない、うざいと思われる」と恐れるようになったのでしょう。
グループの中に自分から入れないのはどうしてなのかと考える前に、自分にとって「いい人」とはどういう人なのかを腰を据えて考えてみましょう。
「人に合わせる」とは「人の期待に応えようとする」ということですよね。ときと場合によっては、相手が望むような自分であろうと励むことはいいことだと思います。たとえば「よきリーダーであろうとしてがんばる」というように、本人がやりがいを感じてイキイキしてやる場合です。
問題は、人に合わせることが目的で「自分を押し殺す」場合なのです。イキイキではなく、それしかなくてイヤイヤやる場合。あなたはそれしかなくて、自分の気持ちを偽ってでも相手に合わせようとしていませんか? それをするのが「いい人」だと勘違いしていませんか?
「私に必要な覚悟とは何か?」とお尋ねですが、その答えは「長年努めてきたいい人をやめる覚悟=vです。自分勝手になれと言っているのではありません。自分の気持ちを正直に口にすることにもっと価値を見出してください、と言いたいのです。
新しく出会う人は、あなたがどんなことを感じて、どんなことを考える人かに興味を持っています。人に合わせることばかり考えて自分を見せなかったら、かえって「つまらない」という印象を持たれかねません。
あなたが苦手なのは、「グループ」ではなく、「自分を見せること」なんですね。これからは人に合わせることより、もっと自分を見せること、もっと自分の意思を表すことを優先しましょう。
そこで提案があります。「半分の人に受け入れてもらえたらOK」とハラをくくるのです。けしてみんなに合わせようとしないこと。二人いたら、一人からは「気に入らない」と思われてもいいと開き直る気持ちが、今のあなたには必要です。
グループというのは、もとは個人の寄せ集めです。もしそこで親友候補を探すように言われたら、自分を見せて、それでも好いてくれる人や馬が合う人を探しませんか? いつでもそんな気持ちでいたらいいのです。
グループの中で孤立したらどうしようという心配は横へ置いて、「今日のメンバーの中に私の親友候補がいるかな?」と、あなたが考えればいい。選ぶのはあくまでもあなた自身なのです。そう思っていると、グループの中に入っていけるかどうかに心をわずらわされなくてすみますよ。
いい人をやめる。その覚悟を決めた自分を受け入れる。そして、のびのびと自分を見せましょう。