がんばっているのに、気持ちがついてこなくて苦労しているようすがよくわかります。なぜそうなるのか、心の中で何が起きているのか、整理してみましょう。あなたが「叱られることに対する抵抗」というタイトルをつけた気持ちから分析しますね。
あなたは今、上司から「できなくて叱られる」ことに抵抗しています。そのわけを、頭(顕在意識)では「40歳を過ぎてから年の近い上司にバカにされて不愉快」と考えていますが、無意識(潜在意識)では「自分が幼いときに、できなくて叱られたことが悲しかった記憶がよみがえるのがイヤ」で抵抗しているのかもしれません。
もうひとつ、上司の言葉を"私を変えてくれる言葉"と受け入れようとしてもうまくいかないことについては、胸の奥に「どうせ私は変われない」という投げやりな気持ちがありませんか? もしかしたら、理想の自分に近づけないことに失望感を抱いているために、知らないうちに自分を責めてしまうのかもしれません。
心を落ち着けて本心を探り、「そうかもしれないなぁ」と思ったら、もっともっと自分に愛を注ぎましょう。心の傷を癒す絶好の機会です。見方を変えれば、上司はそんなこととは露知らず、あなたの心の傷を引っ張り出す役をしているだけなんですよ。
では、あえて、過去に叱られて一番つらかった出来事を思い出してみましょう。その場面でしょげている幼い自分に、もし今の自分が声をかけるとしたら何を言ってあげたいですか? その幼子は、あなたからの愛の言葉をひたすら待っています。
さあ、セラピーの開始です。目をつぶり、その幼子に今のあなたが歩み寄ってやさしい言葉をかけましょう。「悲しまないで、心配しなくても大丈夫だから」「あの人はあなたを嫌って叱ったんじゃない」などなど、今だからわかるどんなことでもかまいません。その子の表情を見守り、最後に笑顔を見届けられたら成功です。(何度でもやりましょう)
次に癒すのは、自分が変われないことに対する失望感です。今度は、私の言葉を今のあなたがしっかり受け止めてください。「理想の自分と比べることはありません。そのままの自分を自分が愛さなくてだれが愛するのでしょう。大切なのは心に"ゆとり"を持つことです。40歳過ぎて叱られる体験をしている自分を笑っちゃいますか? それとも、聴く耳は持った上で、熟女を毎日叱りつける体験をしている上司を笑っちゃいますか?」
「上司を笑っちゃいますか」と言ったのは、もしも上司自身にゆとりがあれば、部下のことを辞めたくなるほど追い込まずに注意できるはずだと思ったからで、けして、上司が悪いからバカにして笑えという意味ではないんですよ。
あなたの苦手意識を払拭する術として、「この上司は幼いとき、毎日めちゃくちゃ叱られて育ったのかもしれない。だから無意識に、自分がされたことを人に仕返ししているのかもしれないな」という納得の仕方もありだということです。
相手にハラを立てても、自分を責めても、問題は解決しません。そんなことより、あなたが感じる悔しさは"負けん気"、情けなさは"向上心"の表れです。そっちを延ばすことに目を向けましょう。心の持ちようが変わると、自然に関係性も変わっていくから。
自分が味わう感情は、常に自分の心の中にある何かを反映しています。そのことを覚えておいてください。だから、放置されていた傷を癒して心にゆとりができると、たとえ同じ人とかかわって同じような目に遭っても、違う受け止め方ができるようになるんですね。
自分を救うことができるのは自分だけですから、相手が変わることを望むのではなく、自分から進んでひと回りもふた回りも大きくなりましょう。