子どもを怒鳴りつけたあとで後悔する……それはよくあることです。自分を責めないでくださいね。まずお伝えしたいことは、怒りは"感情のフタ"と言われていて、フタをして閉じ込めた悲しみやさみしさが胸の奥にあると知らせています。そこに目を向けましょう。このままやんちゃ盛りの子どもを怒鳴り続けても、何も解決しませんよ。
子どもは今、あなたが抱え込んでいる感情の身代わり(スケープゴッドと言います)になっているだけ。子どもには罪がないからこそ、幼い子どもに異常なほどの怒りをぶつける自分をどんどん嫌いになっていくのです。
あなたが閉じ込めている怒りをひと言でいうと、「私の気持ちをどうしてわかってくれないの!」。それが「私の気持ちをわかってもらえない」という悲しみに変わっています。胸の奥に、あきらめて放置したままの"深い悲しみ"がありませんか?
もしかしたら、それは夫に対してかもしれないし、両親に対してかもしれません。自分に近い存在のその人に対して、過去に言いたくても言えなかったこと、今も言えずにガマンしていることが何かありませんか?
たとえ頭では「言っても仕方がない」と承知しているつもりでも、感情は別なんですね。それが心の叫びになって表れている今、しっかり耳を傾ける必要があるのです。必ず何か思い当たる事柄があると思います。それがわかったら、方法はふたつあります。
ひとつは、勇気を奮って、その人に悲しくてつらい気持ちを伝えましょう。直接話をしたくないとかできない場合は、紙に洗いざらい気持ちを書いて、その紙を燃やしてしまいましょう。フタをして閉じ込めた感情は、その存在を認めてすくい取り、もう一度じっくり感じ直せば解放することができます。これはものすごく大切なことです。
次に、子育てについて。子どもを大声で怒鳴って抑え込むことにはなんのメリットもありません。もしもあなたが5歳の子どもで、母親から毎日のようにそんな扱いを受けたとして、将来「ママはあんなに一生懸命しつけてくれた。ありがとう」と感謝すると思いますか? そうはならないと思います。
子どもは、親の愛を感じ取る天才です。子どもが求めているものは愛だけですよ。たとえ悪さをしても、やさしく諭してほしい。大声で叱ったあとにはぎゅっと抱きしめてほしい、と必死に願っています。やさしい言葉をかけて心から愛してあげてください。
もしかしたら、あなたのお子さんは母親に無意識に反発することで、上手に伝えられない思いを伝えようとしているのかもしれません。「違う、ママにしてほしいことは違う」と。子どもは愛を感じる天才だからこそ、貪欲に愛を求め続けるのです。
7歳までの幼児は"見えないへその緒"で母親とつながっていると言います。その意味は、黙っていても母親の情緒が伝わるということ。もし、母親が不安におびえれば、幼子も小さな胸を不安でいっぱいにします。それに耐えられなくて反抗的になったり、神経過敏になる子どもも大勢います。
同様にして、母親の明るい気持ちや幸福感も伝わります。それを感じると、子どもの心は落ち着きます。人にやさしくする余裕が生まれ、信頼することを覚えます。お子さんにやすらぎを与えられるのはあなたしかいません。男の子は多少やんちゃでいいと思いましょうよ。今まで怒り続けた分、これからはうんと甘えさせてあげてください。