もどる
カウンセリングメッセージ

Vol.6 「怒られてばっかりです」

From  夜うさぎさん

4月に就職してから慣れない環境で一から仕事を覚え、かなりしんどい気持ちです。当然わからないことだらけなので怒られることも多いのですが、私自身、今まで「怒られて育った」ことがほとんどないので、注意を受けたときの免疫がなく、すごく悲しくてつらい気持ちになってしまいます。これまでは何でもそつなくこなせたほうなのに、今回就職して「仕事ができなくて、こんなに怒られて、私は本当にこの職に向いているんだろうか」と思いはじめています。この就職難の中でせっかくつかんだ就職先ですが、ひと月もたたないうちに、今後うまくやっていけるだろうか……と自信をなくして悩んでいます。自分の甘えも出ていることはわかっているのですが、心がどうしてもついていきません。怒られることや注意されることを、プラスに取り込むにはどうしたらいいのでしょうか。

 毎年この時期には、あなたのような気持ちになる人が必ず現れます。それは、社会に出ればだれもが一度は味わう"社会のきびしさ"でしょう。私も味わいましたよ。でも、今振り返って思うのは「最初に怒られておくほうがいい」ということです。

 あなたが言うように、慣れない環境で一から仕事を覚えるのですから、最初からうまくいかないのは当然。そんなことは上司も十分わかっています。そこで、手取り足取りやさしく教えるか、怒って恥をかかせて覚えさせるか、それは個々の流儀の違い。

 しかし会社側には、悠長に構えている余裕はありません。新人にはすでに給料を支払い、一日も早く一人前に働いてもらわなければ困るわけです。だから、怒ってでも早く仕事を覚えさせようとします。ところが怒られることに慣れてない人は、まるで自分を否定されたように感じてしまうんですね。

 新人として怒られる期間はごくわずか。あなたがどんどん仕事を覚えれば、同じことで怒られなくなります。そんな大事なときに余計な感情を持ち出して、相手に苦手意識を抱いたり、転職したらどうなるかなどと考えていてはいけませんよ。今は仕事に集中することが一番重要です。

 この期間をうまくやり過ごすために、怒られることについてはこう考えましょう。「自分は脈があるから怒られる」「一度きっちり覚えれば、同じことでは二度と怒られない」「怒っている上司も、新人のときには怒られた」って。

 半年も経てば余裕が生まれ、"注意の仕方"を観察できるようになるでしょう。そのとき、「怒るのは"愛の鞭"なんだ」と気づくかもしれないし、相手を反面教師にして「私なら後輩にこんなふうに指導する」と思うかもしれません。

 でも今は、悔しさをバネにして懸命に仕事を覚え、教えられた通りにやることに全力を注いでください。じきに、いやでも自分で工夫してやっていくしかなくなるし、その仕事を任されて責任を負うようになるのだから。

 怒られる体験をプラスに取り込むには、どんどん質問することです。新人の特権は何を聞いても許されること。どんなバカげたことでも聞けるのが新人の強みなんです。一歩でも先へ進むためには、ひとつでも多く聞く。わからないことをそのままにしておかないで、素直に「教えてください」と言いましょう。

 別の言い方をすれば、上司にはそんな"怒りがいのある新人"がうれしいんです。あなたがそれだけ打ちのめされているということは、本気にならざるを得ない状況に置かれているわけでしょう? 怒られるたびにますます本気になって向かってくる新人が、やる気のある新人と見なされるんですよ。

 人生の流れというものは、いっときも留まることがありません。困難にぶつかったときはいつでも、今回同様、自分が成長できるチャンスなのです。人間としてひとまわり大きくなりたいと思うなら、目の前にある"生みの苦しみ"から逃げようとしないこと。

 自分が成長すれば、あとでかみしめる喜びも必ず大きくなります。それを信じて、「苦しいよー! だけど受け入れて絶対に乗り切ってみせる!」という気概で挑みましょう。

ご相談入力コーナー

*)ご入力いただいた方の中から、ご相談内容とカウンセリングメッセージを掲載します。


| ホーム | プロフィール | エッセイ | ねっとカウンセリング | みんなの広場 |
| Booksコーナー | 講演依頼 | お知らせコーナー | ボイス・レター |

Last Updated: 2012/06/17