随分つらい体験をしましたね。もうその苦しみを終わらせましょう。25歳で一度死んだつもりになって、生き直すことを考えてみませんか。ここから別の人生をはじめるのです。
あなたは頭がいい人だと思いますが、頭がいいばかりに何事も頭で考え、頭で処理しようとして行き詰ってしまったように感じられます。自分の論理で「いい」「悪い」を判断するうち、ひとつも「いいこと」を見つけられなくなって希望を失ってしまったんですね。
あなたの判断では、事故、退学、短大生活、文学の研究者になる夢をあきらめたことは、すべて「悪いこと」、そんな体験を強いられて、対人恐怖や孤独を味わった自分は、自殺してもやむを得ないほど「かわいそうな人」……ですよね。そう思っていたら苦しくなるのは当然でしょう。
あなたなら理解できると信じて書きます。どんな出来事も、起こることはすべて「中立」なのです。さまざまな縁と原因がからみあってただ起きているだけ……雨が降る、花が咲く、事故に遭う、風邪を引く……ぜんぶ同じです。それを「いい」「悪い」と判断するのは人間です。判断の根拠は、ひとりひとりの「都合・予定・理屈」なのです。
今苦しいということは、自分が下した判断が自分を不幸にしているということです。その判断を変えれば現状は一変するし、それは決してむずかしいことではないと思います。視点を変えることは、自分の意志で、自分ひとりでできることだからです。どうせ変えるのならば180度変えましょう。
もうひとつ、あなたが人生で体験することに無駄なことはひとつもありませんよ。何に対しての無駄かというと「自己実現」です。「それがしたくて生まれてきた」という本来の目標、いわば魂の願いです。その意味では、そろそろあなたの人生に必要な材料が揃ったのかもしれません。
世の中を見渡せば、いろんな25歳がいますよね。その中であなたは、死んでしまいたくなるような体験をし、葛藤も苦悩も孤独も挫折もたっぷり味わいました。しかもあなたは文学にとても興味がある。つまり、あなたには文字表現の素養があるということだと思います。
私からの提案です。今までの気持ちを深く掘り下げて書き表してみませんか。たとえば小説風に。だれでも一生に一冊は小説が書けるといわれるのは、自分の体験ならば深く洞察して生々しい気持ちを詳細に綴ることができるからです。
それをする場合は、自分の体験をどういう形で著せば共感を持って読んでもらえるか、それで自分と同じように悩んでいるだれかを勇気づけることができないか、作品を通して世の中に理解してもらいたいことや訴えたいことは何なのか……まずそれをじっくり考えてみてください。
それをつかんだら、ドキュメンタリーでもフィクションでもいいから書いてみましょう。どれだけ時間を注ぎ込んでもいい。うまく書くことが目的ではありません。あくまでも、今胸にあるものを表現することが目的です。
未知へのチャレンジがあなたを救い、必ず新たな道を切り開くきっかけになるでしょう。作品はネットで発表することも公募することもできると思いますが、今はまだそんなことは何も考えないで。高く評価されることにとらわれなければ、きっと仕上げることができると思います。