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カウンセリングメッセージ

Vol.05 「どういうふうに生きたらいいのですか?」

From くまさん

何もしたいことがないので、何のために生きていけばいいのかわかりません。たくさん本を読みましたがわからないのです。教えてください。お願いします。大学を卒業するまでずっと我慢して学校に通っていました。これが終われば楽になると思っていたのです。  でも、次は就職しなければならないと知って、働きたくもないのに就職活動しましたが、何もしたいことがないために志望理由や自己PRを書けず、結局、就職できませんでした。就職すればこれからまた我慢しなければならないと思うと、生きることが嫌になってしまいます。生きるのが面倒です。生きるためにはお金が必要だと知っていますが、生きるために我慢して働かなければならないくらいなら、生きたくないと思ってしまいます。食事と家事以外の時間、どうやって過ごせばいいのかもよくわかりません。どういうふうに生きていけばいいのか教えてください。

「何のために生きていけばいいのか」を頭で解釈しようとしても悩みは解決しません。実践してみてはじめてその言葉が自分に価値あるものかどうかがわかるのです。私があなたに送るメッセージもそうですよ。これが最初に「教えたい」ことです。では、こうなってしまった原因から見ていきましょう。

 あなたは赤ちゃんのとき、「はい、アーンして。いっぱい食べて大きくなってね」と自分の【すること】と【する理由】を親から与えられました。それは児童になっても続きました。与えられたこと(お手伝い、あと片付け、勉強など)をしていればすんだし、疑問も抱きませんでした。それだけまだ心の構造が単純だったのです。

 ところが大きくなって「自意識」が芽生えると「幸福」を求めはじめます。心の構造が複雑になって「私は幸福じゃない」と認識できるようになったためです。なんでも与えられることに慣れてしまったあなたは、親が与えてくれた大学生活では「幸福」を見出せず、社会生活も「幸福」とは思えず、途方に暮れてしまいました……これが今のあなたです。

 目に見えない幸福を感じ取るのは"心"であって、大学や会社は"場"に過ぎません。あなたは『幸福を見出す心=本来の自分』を見失い、「無気力・無関心・無感動」に陥って「何もしたいことがない」と思っています。でも、これは一時的な状態です。 「無気力・無関心・無感動」状態は、もう何も感じたくない、もうこれ以上傷つきたくないという悲鳴の裏返しなんです。無意識に、心が壊れないように防衛しようとして心の感度を下げたら、うれしい、楽しい、ワクワクするという幸福を感じる感度も同時に下がってしまったのです。

 たぶん、あなたは自分のことが大嫌いで、自分を愛する方法がわからないのだと思います。今のあなたに必要なものは「どういうふうに生きるか」というアイデアでなく、「どうやって自分を愛するか」。そのために「どうやって心を解放して無意識に溜め込んだ悲しみを吐き出すか」です。

 与えられた場の中でずっと我慢してきたあなたは、「どうして?」という切ない想いを胸の奥にたくさん封じ込めています。知らないうちに大きな悲しみを抱えているはず……。それを全部吐き出しましょう。涙が枯れるほど泣いていいんですよ。それが必要なんです。思い切り泣くことで傷ついた心を癒す。それがあなたの第1ステップです。

 心を解放するといろんな感情が飛び出してきますから、それを「いい・悪い」「正しい・間違ってる」と振り分けないで、ただ感じましょう。「こんなふうに思う私もいる」「あんなふうに感じる私もいる」……と笑って受けとめるようにしてください。これが第2ステップです。

 そのうち心が「こんなことが好き」「あれならやってみたい」とつぶやきはじめます。そのとき、「どうせできない」とか「失敗したらどうする」と考えてはいけません。「私は自由。結果を引き受ける覚悟があれば何でもできる!」と考えて行動に移しましょう。これが第3ステップです。

 途中でつまずいたら、また第1ステップからやり直せばいいんです。やり直すたびに心は鍛えられて、感性が豊かになっていきます。そして、つらいこともうれしいこともあるから生きていくことは楽しい。自分が成長していくことが楽しみ。と感じられるようになったら(きっとそうなりますよ)、人生で叶えたい夢がいっぱい出てくるでしょう。

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Last Updated: 2011/05/17