感情がすぐ顔に出るということは、あなたはそれだけ正直な人なのでしょう。きっと、うれしいときも、感激したときも、喜びをめいっぱい顔に表わして場の空気を和ませているのでしょうね。その意味で、感情を素直に表せることは長所です。
表情から発したものは、いい悪いに関係なく波紋のようにまわりに広がります。だから、なるべくニコニコしていたいと思います。でも、生きていればいやなことにもたくさん出会うし、次の瞬間に何が起こるかはだれにもわかりません。
問題は、いやな気分やつらい気分に襲われたとき、どうするかです。「むりにニコニコする」か「ムスッとする」という選択肢しかないと思えば、頭を抱えてしまうでしょう。でも、穏やかな自分でいるための選択肢はほかにあります。それは『こういう自分、好きだな』と思える自分でい続けることです。
あなたは、本当はいやだと感じているのに表情ひとつ変えない人、好きですか? もし、好きじゃないと思ったら、そんなことをする必要はありません。心の中が嵐のようになっているのにむりやり感情を抑えつければ、それは怒りに変わっていつか爆発します。そういう行為が心を破壊していくのです。
感情を正直に表現するのはいいことです。ただし、自分がムスッとしそうになったとき、人にいやな思いをさせないように「説明」と「お詫び」をすることを忘れないようにしましょう。これが"配慮"です。
たとえば、「今日すごくいやなことがあって、とてもじゃないけど笑顔でいられない気分なの。ごめんね」とか、「面倒くさいなって思うと、すぐ顔に出ちゃうんだ。許して」といったことを伝えれば、相手の印象は随分変わると思います。あなた自身も『そういう自分なら、好きだな』と思いませんか。
何かをいやだとか面倒くさいと感じることは仕方がありません。だからと言って、その気分にいつも振り回されているだけでは進歩がないし、不快感もなくなりませんよね。そんな自分を超えて、どんどん『こういう自分なら、好きだな』と思えるようになっていきましょう。そのためのいい方法があります。
これからは、いやだとか面倒くさいと感じたら、とにかくその場でこうつぶやいてください。「いやだな。でも受け入れよう!」、「面倒くさい。だけどやろう!」って。最初は言うだけでもかまいません。口に出していつもいつも言っていると、そのうち行動がともなってきます。
不思議なことに、人間は自分が口にして言い切った自分にちゃんと近づいていきます。だから決して「自分はダメだ。私には力がない」なんて言ってはいけないのです。どうしてもそう感じてしまうときは、「なりたい自分」を付け加えて「自分はダメだってすぐ思っちゃうけど、本当はまだ持っている力を発揮できないだけ。私にもできる!」と言い切りましょう。
正直なあなたのままで、目の前にいる人への配慮も忘れなければ、まわりはどんなあなたも受け入れてくれるようになりますよ。たとえ、いやな気分が顔に出てしまっても、逆に「どうしたの、大丈夫?」とやさしい声をかけてもらえるようになるでしょう。