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カウンセリングメッセージ

Vol.12 「失恋の傷」

From のんちゃんさん

もうすぐ22歳になります。2年前に彼氏と別れてから恋愛ができません。彼とは当然結婚するものと思い3年間付き合いました。でも、彼は私と別れて同じバイト先の後輩と付き合いはじめ、知り合いなのですごくショックで、未だにその子を見ると辛いです。彼には「お前は俺がいなくても、周りにたくさんいい人がいて甘えることができる子だろ?だから俺がいなくても大丈夫。俺はお前を捨てたわけじゃない。もう振り返るんじゃない」と言われました。私が強くなって周りと上手くいくことで彼を失うなら、強くなんかなりたくなかったし、成長なんかしたくなかったです。もう彼以上に好きになれる人は現れないから、ずっとひとりで生きていくんだろうなと諦めているし、好意を持ってくれる男の人といると気疲れしてしまうんです。私の時間は2年前で止まっています。前の自分に戻れば、ひねくれてしまったこの考え方も戻ってまた誰かに愛してもらえるかもしれない。だから前の自分に戻りたい、成長なんかしたくない、と毎日思っています。こんなんでまた人を愛し、愛される日はくるのでしょうか?

 失恋の痛手は、希望を奪い取って絶望的な気持ちに追い込みます。考えを暗い方へ暗い方へと引っ張り、「彼以上に好きになれる人は現れない」と思わせ、「私はなんてかわいそうなんだ」と自分に同情させます……これは"失恋の後遺症"です。

 失恋した人は大なり小なりこの後遺症に悩まされながら、数々のことに気づいて成長していきます。あなたは「成長したくない」と言っていますが、今度こそ本気で愛されたいと願うなら、あなた自身が成長する必要があります。ちょっとキビシイことを言いますよ。

 彼が別れ際に言った「お前は俺がいなくても、周りにたくさんいい人がいて甘えることができる子だろ?だから俺がいなくても大丈夫。俺はお前を捨てたわけじゃない。もう振り返るんじゃない」という台詞から、彼の本音がうかがえます。「お前に未練はない。周りの人を頼ってなんとか切り抜けろ。俺は悪くない。俺をうらんだり追いかけたりするなよ」と言っているように私には聞こえます。

 あなたは彼の発言を真に受けたようですが、そんなあなたの素直さと純粋さにつけ込んだ男のずるさを感じます。だって、3年も付き合った彼女と別れたいと思ったなら、正直にその理由を打ち明けて、自分が幸せにできなかったことをあやまるくらいの誠実さがほしいと思いませんか。

 目を覚ましてください。あなたがしたのは「恋に恋する」体験だったのかもしれません。恋はしたけれど「愛し愛される」体験には至らなかった……としたら、今未練を残しているのは、恋人にというより、恋をしていた幸せな自分に。だから、あのころの自分に戻りたいという気持ちを止められないんですね。

 もし、初恋を成就させた人がいたとしても、その人はたぶんあなたの知らないところで「愛し愛される」ことについて苦悶していると思います。人を愛することは、恋愛本を読み、恋愛ドラマを見て、頭で理解したからうまくいくというものではないからです。

 人生はまさに"体験学習"の場なのです。中でも恋愛は、さまざまな感情が入り乱れる修羅場。恋に落ちたとたん、それまで味わったことのないたくさんの感情を知るでしょう? 胸キュンのときめきから、高揚感、一体感、会えないさみしさ、燃えあがるジェラシー、果てしない不安、無敵の愛、そして……恋を失う悲しみまで。

 私たちはそういう体験を通して「自分の未熟さ」を反省し、「相手を見る目」を養うために懸命に自分を磨いていくのです。次は、ステップアップした自分にふさわしい相手を射止められるように。自分が人間的に成長すれば、成長した分だけよりすばらしい人を引き寄せることができるから。

 あなたが別れた彼をうらんだり、悪く思っていないのは幸いです。貴重な体験をさせてくれて、いろんなことを教えてくれた彼に心から感謝して、さあ、彼を卒業しましょう。

 もう過去に戻ることはできないし、戻る必要もありません。過去は、いいも悪いもなく積み重なっていくもの。そして未来は、心に強く思い描いて手に入れるもの。今度恋をしたら、どうやって恋心から愛を育てていくか……それを真剣に思い描くことが大事です。

 そうすればいろいろなことに気づけると思います。そこがスタートライン。そこで、新しい恋人はきっとイキイキした明るい私を好きになるだろうと思ったら、その未来に向けて行動を開始しましょう。イキイキした明るいあなたになって、世界のどこかであなたと出会う日を待っているその人に、心の中で「私は準備OK!」と伝えられるように――。

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Last Updated: 2010/12/17