ものごとをどうしても悲観的に見てしまう癖、それが直らなくて悩んでいる人は大勢いると思います。それは直すというより、そういう自分を受け入れて意識を向ける方向を変えることが重要です。
まわりを眺めてみても悲観的な幼児はいませんよね。私たちはみんな、もともとは楽観的だったんです。でも大人になる過程で、何も考えずにしたことがうまくいかなくてひどく傷つき、警戒心を抱くようになりました。
そこで「これ以上傷つかなくてすむように防衛する方法はないか?」と考えてあなたが思いついたのは、あらかじめ「悪いイメージ」をすることでした。悪い事態を想定して心の準備をしておけば、そのあと悲惨な目に遭ってもショックが少ないだろうと考えたのです。
しかし、この方法はうまくいきませんでした。「悪いイメージ」が習慣になったら悪いことがひんぱんに起こるようになって、とうとう笑顔も希望も失ってしまいました。これがあなたの現状だと思います。
私たちは強くイメージしたことを自分に引き寄せます。あなたがあやまちに気づいて「良いイメージ」を持とうとしてもできないのは、『良いイメージをしたら悪いことが怒りそうで怖い』という強い恐怖心のせいでしょう。
その背景には罪悪感があるので、深層では……私は「悪いイメージ」をふくらませて人生を行き詰らせ、両親にも迷惑ばかりかけてる悪い子。そんな私が今さら「良いイメージ」をしていい思いをすることは許されない。そんなことをしたらもっと悪いことが起こる!……という声が鳴り響いているのかもしれません。
あなたが「そんな自分に負けないで変わりたい!」とどんなに望んでも、心にブレーキをかけてしまうのには理由があります。それは「冒険するほうがもっと怖い」からなのです。慣れ親しんだ悪癖の中でぼやいているほうが、未知の冒険をするより落ち着くという"悪循環"にはまっているんですね。そこから抜け出しましょう!
「悪いイメージ」をやめることも「良いイメージ」をすることもむずかしいというときは、こんなふうに言い聞かせてみてください。「私は今の自分に必要なことしか体験しない。だからもう何があってもあわてない。目の前のやるべきことに集中すればいいんだ」って。
あなたが実行することは、ああでもないこうでもないという空想に心を奪われず、一心に何かすることです。イメージなんて全然出てこないくらい集中して、勉強や好きなことをやってみてください。それでどうなるのかという答えを捜す必要もありません。
『イメージすることさえ忘れる』それが解決への道なのです。ひとつのことに没頭してやり遂げたあとのすがすがしさを感じましょう。そうすると、別のこともやり遂げたいという気持ちがわいてくるから。集中すればできるんだという自信も芽生えてくるから。
注意する点は、「どうやって集中したらいいか?」「はたして自分は集中できるのか?」などと考えはじめないこと。「悪いイメージ」をする癖を引きずり出すだけですよ。もしそうなりそうになったら、がんばって目の前のことに意識を戻しましょう。
心をあちこちに飛び散らせて使うと、不安感をあおって疲れます。逆に、心をひとつのことに集中して使うと、充足感や達成感を得られます。そのときにふとわきあがるイメージが「ひらめき」=「良知」です。これが最強の「良いイメージ」となって、あなたの人生を引っ張っていってくれるでしょう。