長年抑えつけてきた感情を"感じられる"ようになって本当によかったですね。「おめでとう!」と言いたいくらいです。ただし今は、心を切開して封じ込めていた感情を引きずり出している状態。つまり心の手術中なので、しんどいのは当然です。あふれ出す感情をしっかり見据えて、私と一緒にこのオペをやり遂げましょう!
あなたがどのようにして感情のふたを開けたのかはわかりませんが、それは絶対に必要なことだったんですよ。だからよかったと言ったのです。あなたにずっと拒絶されていた感情が、他の感情まで引き連れて噴き出しているようですが、そのすべてを"ひたすら受け止める"――あなたが今するべきことはそれだけです。
"ひたすら受け止める"とは、起きていることを怖がらず、逃れようとせず、「いい」「悪い」の審判を下さないで感じること。"感じ切ること"がたいへん重要です。感じ切れば、その感情は消えていきます。
不安を取り除くために、『ブラックホールに引き込まれるような感じ』について説明しましょう。あなたは幼少時代に「寂しい」「悲しい」という感情を、一番受け止めてほしい人(通常は親)に無視されたり、煙たがられたり、見せるなと命じられたりしたつらい体験があるはず。そのとき心が深く傷ついて、「もう二度と傷つかないように、そういう感情を持たない(感じない)自分になろう」と決めたのでしょう。
しかしそのままだと、大切な人たちといい関係を築くのはむずかしくなります。心をさらけ出して触れ合おうとしないあなたに、相手はどうしても不信感を抱くから。その体験が新たな心の傷を作り、「人を傷つけてしまった」という後悔や「私のせいだ。私が悪い」という罪悪感になって噴き出しているのです。
このようなネガティブな感情が一気に噴き出せば、だれだって怖くなります。あまりにも怖いと、頭から血の気が引いて実際に体温も下がります。それで一瞬動けなくなるんですね。でも、あなたは理由を知っているのだから恐怖に呑み込まれないでください。
もう一度言います。今の状態は起こるべくして起こっている必要なプロセスです。焦らないで。感じたくない感情がわいてきたら、「いやだ、消えてほしい!」と目を背けずに、「よし、感じ切ろう!」と腹をくくりましょう。
怖くなったらこう言い聞かせて。「今まで感じない振りしててごめんね。わかったから、出たいだけ出ておいで。ちゃんと受け止めたら宇宙に帰ってね」って。あなたの感情はあなたの一部、それは心身からあふれるエネルギーにほかなりません。
だからもともと、感情それ自体に「いい」「悪い」はなんですよ。ひとつの生命エネルギーが、状況に応じて違った表れ方をするだけなのです。たとえば、孤独で寂しいという感情(エネルギー)は、だれかとつながった瞬間に喜びに変わるでしょう?
私たちはつい心地いい感情だけを求めがちですが、それでは心豊かに生きられないと思います。すべての感情を抱きとめるからこそ、人としての価値がある。そのことを認めてそんな自分にいとしさを覚えたとき、幸せがはじまります。
あなたは新たな一歩を踏み出しました。ここまでよくがんばりましたね。今の状態を乗り切ったらフッと心が軽くなって、それからは味わい深い人生をもっと楽しく生きられるようになるでしょう。