自分のことばかり考えているからイライラするのだと戒めるあなたは、本当にマジメで、けなげで、向上心のある人だと思います。でも、あなた自身が幸せでなくなったら、まわりを幸せにすることはできませんよ。イライラする原因のほうに着目し、今ある問題を乗り越えましょう。
まずこのことをよく理解してください。自分を殴るといったいわゆる自傷行為は、こうでありたいのにできない自分を切り捨てようとする行為です。自分を傷つける=罰することで本来の自分を取り戻そうとしても、じきに限界がやってきます。そこで自暴自棄になって自殺してしまう人もいるのです。
イライラするのは、「本音をごまかさないで」というサインなんですよ。「ずっとムリしてきて疲れちゃった。やり方を変えて、もっと自分を労わって」という心の声を無視して、あなたは頭だけで「こうあるべき!」と考えていませんか?
どんなにいやな自分でも、その自分以外に"あなた"はどこにもいません。今の自分を一度受け入れようと決意してください。そして本音を受け止め、心の平安を取り戻しましょう。あなたがよりいい生き方に気づくために、この現実が用意されたのですから。
人間の意識が変わるのは、ほとんどの場合が「もうだめだ」というギリギリのタイミングなんです。だから、あなたにとっては今がベストタイミング。一日も早く、あなたの愛がやさしさとして流れ出すように、心の奥にある声を代弁しましょう。
――介護する人たちに対して、自分は特別な存在でなくちゃいけないと思わないで。自分も同じように愛をほしがっているわがままな人間。ただ専門知識があるから、役割が違うだけ。仕事は心を込めてするけれど、完璧な姿を相手に見せなくてはと思わなくていいから。もっと普通に、ときには苦笑いして弱音を吐いてみたら? それを自分に許すだけでも、気持ちがラクになってもっと笑顔が増えるよ!――
あなたは"いいかげん"を覚える必要があるのかもしれませんね。楽器の弦は、強く張りすぎても弱く張りすぎてもきれいな音は出ません。これがこの言葉の由来で、意味は"ちょうどいいあんばい"。心の弦も張り詰めれば(緊張しすぎれば)切れてしまうので、同様に良い加減(いいかげん)に張って心地よい気を放つことが大事なのです。
介護の現場は忙殺されるほどたいへんだからこそ、自分を見失わないでください。そのために"頑張る方向"を間違えない。介護される側は「求める」ことが仕事で、あなたは「与える」ことが仕事だけど、そこであなたが「同じ人間同士として触れ合おう」という気持ちをなくさなかったら、義務感には追われないと思います。
完璧であろうとする前に、素の自分をチラリと見せる心の余裕を持っていましょう。それが結果的に、介護される側にも気楽さや心地よさを与えるから。相手はじっと見ています。あなたの出方しだいで、きっとやさしい気持ちを返してくれるでしょう。そこにやりがいを見出してください。
あなたが人を助ける仕事に就いたことはすばらしいことです。そんなあなたの希望に沿おうと懸命に動いてくれる体に、もっと感謝の気持ちを持ちませんか。その体を文句も言わずに支える小さな足の裏をもみながら「今日もがんばってくれて、ありがとう」とねぎらう。それが自分を愛するということです。そこに心を置くならば、きっと物事がうまく回りはじめますよ。