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カウンセリングメッセージ

Vol.12 「自分を受け入れられない」

From ひなたさん

私は中学生の頃から自分が嫌いで、人と関わることも苦手です。最近、自分を受け入れて大切にしたいと思う気持ちが強くなってきたのですが、どうしても「自分が嫌い」という感情に勝てません。できることなら、ありのままの自分を受け入れて自信を持ちたいのですが、目標を立てても達成できず、すぐ挫折してしまいます。変わりたいなら本気で立ち向かうしかないのに、情けなくなります。また、人から嫌われたくないという気持ちもとても強く、ありのままの自分を出すと嫌われると思い、常に相手の顔色をうかがってしまいます。気を抜いたら嫌われるとかまえているので、「自分がしたいことを積極的にする」とか「余計なことを考えずに生きる」ということがとてもむずかしく感じられるのです。 Q1:自分を受け入れるためにありのままでいることは、嫌な自分も受け入れなければいけないということでしょうか? Q2:嫌な自分を変えようとすることは、結局は自分を否定することになるのでしょうか? どうしたら揺るがずにいられるのかわかりません。

 あなたの中には"現実の自分"と"理想の自分"がバラバラに存在しているので、それが葛藤を起こして心を苦しめているようですね。

 現実の自分は、目標を立てても達成できず、すぐ挫折してしまう嫌いな自分。そして理想の自分は、余計なことを考えず、したいことを積極的にするありのままの自分…ですか? でも、実際にこのふたつはひとつ。あなたの中に同時に存在している"あなたそのもの"なんですよ。

 結論から言うと、このバラバラの自分を心静かに統合すること。それが「自分を受け入れる」ということなのです。では、質問に答えながら詳しく説明しましょう。
Q1:自分を受け入れるためにありのままでいることは、嫌な自分も受け入れなければいけないということでしょうか?

 ありのままとは"自然体"ということです。それは決して、何かに耐えている苦しい状態ではありません。ありのままでいたいと思うのなら、大前提として『自分のすべての部分をあなた自身が受容する』必要があります。

 あなたの心には、いくつか"自分を嫌う理由"がありますよね? また、そのように感じるきっかけとなった"つらい出来事"も同じくらい抱えているはず。それを丁寧に思い出してみてください。心がたどった軌跡を振り返って理解してあげる。つまり、そんな体験をしてきた自分を許すことがポイントです。

 それをするときは、感情的にならないで、出来事を客観的に見ていってくださいね。そうすれば、全体の流れを理解できるから。嫌な自分をムリヤリ好きになろうとするのではなく、ただ、否定しないでわかってあげるんです。あたかもあなたが、大親友の打ち明け話を一心に聴いてうなずくときのように。
Q2:嫌な自分を変えようとすることは、結局は自分を否定することになるのでしょうか?

 自分を変えるということは、それまでの自分を「超える」ということ。そこには否定も肯定もありません。情けない自分がいたから、それを超えたいと願う自分が現れた。その自分を真剣に応援したら、状況が変わった。心がラクになった。これが"成長"です。

 今の自分を否定することにエネルギーを注いでいるあいだは、頭の中は言い訳と攻撃の堂々めぐり。それをやめない限り、だれも幸せにはなれませんよ。過去のあなたも、現在のあなたも、未来のあなたも……。

 成長は常につらい葛藤を伴うものなんです。さあ、自分にこう言い聞かせて、他人の反応におびえる自分を超えていきましょう。「自分がこんなに嫌ってるワタシを、そのまま他人に好いてほしいなんて虫がよすぎる……こんな自分は卒業する! 私は私を変えられる。私は今の私をそのまま受け入れて、超える!」って。

 文頭に、もともとあなたは"ひとつ"と書きました。あなたの長所と欠点も"ひとつ"。自分を肯定しはじめると、欠点は長所として表れるようになります。人の顔色をうかがう性質は「人を気遣う性質」に、自己嫌悪の体験は「人の心の痛みを解するやさしさ」に変わるでしょう。

 そんな魅力的なあなたになってください。成長した未来の自分を創ることができるのは、現在の自分だけです。その作業をたいへんだと思わず、成長を心待ちにして、今の自分としっかり向き合いましょう。

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Last Updated: 2009/12/17