もどる
カウンセリングメッセージ

Vol.10 「ガス欠してしまった私」

From ポパイさん

現在治療中でカウンセリングに通っています。2年前に会社を退職しました。理由は職場恋愛で、大好きでしたが失恋しました。その女性は私の友人と結婚する予定です。それから私は「国家試験合格」という新しい目標を立てて猛勉強しました。しかし結果は不合格。その後、持病が悪化、さらに大怪我までし、収入が5万円もない生活が心を苦しめました。そしてとうとう来月は国家試験という所で、勉強に対する意欲が完全になくなってしまいました。以来、実家に引きこもっています。自己分析すると、国家試験合格を目指した原動力は、叶わなかった恋への当てつけで、自分の存在証明だったような気がします。そこまではわかるのですが、新しい一歩が踏み出せません。よろしくお願いします。

 あなたがなぜ勉強に対する意欲をなくしてしまったのかを、もう少し踏み込んで見ていきましょう。その答えは「二度と失敗したくなかったから」。つまり「あんなみじめな思いはもう決して味わいたくない」と思ったからではありませんか。

 失恋による痛手を負ったあなたは、その痛みから逃れようと気力を振り絞って国家試験に挑みました。自分のことを自他ともに認められる何かがほしかったからです。しかしまたしても『ほしいものが手に入らない』体験をして深く傷つきました。それ以来、『ふたたび失敗するかもしれない恐怖とみじめさ』がついてまわり、何もする気が起こらなくなってしまったのだと思います。

 新しい一歩を踏み出すためには、今までの出来事をすべて容認し「私が味わった体験は、恐怖ではなくて勲章だ!」と強く自分に言い聞かせる必要があります。

 人間はいつも、失敗の中から学んで知恵と力を蓄えていきます。子どもの頃からそうだったように、何度もコケては立ち上がり、少しずつできなかったことができるようになっていく。それは大人になっても変わりません。

 もしもあなたのまわりにコケたことのない人、たとえば「恋愛してフラれたことは一度もない」と自慢する人がいたとしても、その人が本当に愛し愛されて幸せに暮らせるかどうかは別問題。最初から申し分のない人生なんてありません。私たちの目標は成長です。だからこそ、失敗するのは当たり前、挫折は避けて通れない、それが人間だと割り切りましょう。

 人生のどこで挫折して死にもの狂いで立ち直っていくかは、ひとりひとり違っています。がだれにとっても、そのときが「人生の転換期」であり「本当にやりたいことに目覚める」ときなのです。 同じ国家試験に挑むことがあなたのやりたいことではないなら、もう過去は振り返らず、
"新たに手に入れたいもの"を考えましょう。大事なことは決して失敗を恐れないこと! 失敗は「とり返しがつかない」と思う人にとっては悲惨な経験ですが、そう思わなければ、人生におけるひとつの経験に過ぎないんですよ。

 自分が傷つきそうなことを避けたい気持ちはよくわかりますが、そのままだと「手に入れたいものに向かうプロセス」を楽しめずに終わってしまいます。あなたが価値を見出すべきはそのプロセス。人生のゴールが死ならば、生にこそ意味があるのと同じです。そのことをよく考えましょう。

 あなたが痛々しい傷を負ったということは、その分、人の痛みもわかるようになったということ。だから「つらかったけど勲章!」と思えばいいと言ったのです。それほどキツイ体験を経て真のやさしさを肌で知ったあなたは、これからきっとすばらしい恋愛ができると思います。

 あせることはありませんから、自分の決意次第で未来はどんなふうにもなることを忘れずゆっくり充電し、元気が出たら"今ならできる何か"をはじめましょう。いつか、「あの苦しみを乗り越えたから、この感動を味わえた……」と涙する日が必ずやって来るから。

ご相談入力コーナー

*)ご入力いただいた方の中から、ご相談内容とカウンセリングメッセージを掲載します。


| ホーム | プロフィール | エッセイ | ねっとカウンセリング | みんなの広場 |
| Booksコーナー | 講演依頼 | お知らせコーナー | ボイス・レター |

Last Updated: 2009/10/17