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カウンセリングメッセージ

Vol.7 「障害を持って生まれました」

From けんたママさん

3歳の娘と、生後3ヶ月になる息子の母です。息子の聴力と脳に異常が見られ、将来を考えると胸が押しつぶされそうです。「なんでこんなことに……心から幸せと感じられる日はもう来ないのか」、「いや、なんとか幸せをつかんでやる!」という思いが交互にやってきます。私の職業は保育士です。同じ年齢の子どもと毎日接しなくてはならず、つい比べてしまってつらくなります。これまで「人生は自分の努力でなんとかなる」という経験を積み、いい気になっていたところがありました。以前の私なら、他人が自分のような状況だったら「受け入れるしかないよね」と簡単に言っていたと思います。しかし変わりました。今はその人の立場になって気持ちを理解しようとし、本当の幸せについて考え、今ある健康や環境に感謝するようになり、その意味では自分の成長を感じないではありません。でも、息子のことが片時も頭から離れず、何もなかった過去を思い返すと苦しいのです。何か目標を見つけて生きたいと必死の毎日です。娘の人生に及ぼす影響もとても心配です。

『天に棄物(きぶつ)なし』という言葉をご存知ですか。人生には納得のいかない、つらく苦しいことが起こるけれど、それは「ないほうがいいこと」ではなくて、天がより実りある人生を送らせようとして与えたものだということです。

 思いがけない苦難に出会ったときは、「価値観を100%変えなさい」というメッセージを受け取ったのだと考えてください。それを謙虚に反映して生きようと努めるならば、あなたは間違いなく『天に棄物(きぶつ)なし』と実感するでしょう。

 保育士のあなたは、わが子だけでなく、多くの子どもたちに影響を及ぼす立場にあります。そんなあなたに、さらに大きな壁をぶち破る機会が与えられました。これからは、頭でわかっていることを"実際に生きる"のです。

 価値観を100%変えるためには、今否定しているものを肯定する。「自分の身に起こったことはいいことだ」という観点で、ひとつひとつに感謝して生きはじめることが大切です。

 今はまだ息子さんの境遇を感謝するのはむずかしいかもしれませんが、生まれてきてくれないほうがよかったと思いますか? もし、息子さんの魂が、この生では障害を負うと決め、あなたを母親に選んで生まれたのだとしたら? 一緒に力を合わせて生きていくことで多くを学び、愛に目覚め、実りある人生を拓くために誕生したのだとしたら?

 人は何のために生まれてくるのか……。それをあなたに伝えたくて、息子さんは家族の一員になったのです。不自由と不幸せはまったく違います。それを教えるのが、お母さん、あなたの役目ですよ。 

 3歳の娘さんも、きっと思いやりに満ちた心根のやさしい女性に育つでしょう。あなたの心にあるものを、無邪気な幼子はそっくり吸収して自我を形成していきます。だから、それもお母さんのあり方次第なのです。

 私たちはつらい目に遭うと、その苦悩がずっと続くように思いがちですが、人の心は変わります。変われるから成長でき、そして、救われるのです。まっすぐな努力を続けてください。そうすれば、必ず心に光が差してくるから。それは人生に光が差して、新たな道が開けるという意味です。

 あなたの使命は、子育てを通して同胞を助けることのような気がします。保育士であり、母であるあなたの体験から生まれる数々の言葉やアイデアは、同じ立場で苦しんでいる人たちにとって、計り知れない大きな助けになると思います。

 丁寧に子育ての記録をつけていきませんか。子どもの様子、自分の気持ち、発見・感動したこと、励まされた言葉、社会に対して思うことをつづっていってください。これは明日を生きるあなたのためにも、また、いつの日か人に役立てる資料としても有効でしょう。

 最後に、赤ちゃんの心を代弁して書いた自作の詩を添えてエールを送ります。

☆☆ 不自由なからだ ☆☆

ママ、
もしも、わたしのどこかに障害があっても
なげかないでください。
けして、あわれまないでください。

ママはすごく悲しむと思うけど、
そして、わたしの将来を案じると思うけど、
わたしは、
あえて、この体を選んで生まれてきたの。

ママ、いっぱい泣いたら、
あとは、わたしと笑って生きていこっ!

ママの涙を見るのはつらいけど、
わたしは負けないから。
まっすぐ、たくましく生きていくから。

なんども、天使がこういうの。
「ママの価値観が大きく変わって、
ママはいろんなことに気づくよ。
それはしあわせなことだから、
ママに愛を送り続けてね」って。

ママの手をうんとわずらわせるのは確かだけど、
ママとわたしが
どのくらい強いきずなで結ばれているか…

それを、毎日感じながら
神さまに守られて生きていくのは、
きっと、すばらしいことだよ。

ママ、わたしを信じて。
ふたりのしあわせを信じて。

うわべだけのやさしさや
うすっぺらな誇りじゃなくて、
人間がもってる最大限のやさしさと
尊厳を知りたいって思ったから、

わたしはこの人生を選んで生まれてきたの。
ママを信じて、
ママの子どもになったの。

『だから、生まれてきた。』(リオン社刊)より転載

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Last Updated: 2009/07/17