幼いころから大好きでやっていたサッカー。そこにはあなたの大きな夢があったはず。でも「その夢はもう叶えられないかも…」と恐れを抱きはじめたころから、あなたは苦痛を感じるようになったのではないでしょうか。
人間は、ひとつのことにのめり込んで夢中でやっていると結果は二の次になりますが、それとは逆に、結果にとらわれてアレコレ気にしながらやっていると楽しさは消えてしまいます。後者が今のあなたの状態だとすれば、そこから抜け出す方法は2つ。
1つ目は、人のためのサッカーをやめて、自分のためのサッカーをする。
楽しくないけど人の期待に応えたいと思うのは、イイカッコしたいという気持ちの裏返し。高校卒業と同時にサッカー選手として活躍する道が開けなかったあなたは、海外でサッカーを続けることで面目を保とうとしたのではありませんか?
まわりから評価されたいがためのサッカーをしている限り、自分の努力の見返りとしてチャンスや栄光を手にできないと、心はどんどん追いつめられていきます。焦り、あがき、自信をなくして逃げ出したくなります。あげく死のうかとも考えるわけです。
それはあなたが、大好きなサッカーを人から認めてもらうための手段にしてしまった、いつのまにか義務にしてしまったせいなんですね。
そのことをはっきり自覚して、もう一度、自分のためのサッカーをとり戻しましょう。今度こそ、才能を完全燃焼させるための、自分を思いっきり輝かせるたるための、いつ死んでも悔いを残さないためのサッカーをするのです。
心構えができたら、ユニフォームに、シューズに、ボールに、心の中で「ありがとう、愛してるよ」と言ってから毎日ユニフォームに袖を通し、シューズを履き、ボールに触れるようにしてみてください。初めは抵抗があってもしばらく続けること。その向こうには、あなたをサッカーに導いてくれたすべてのものたちがいます。
今自分がこうしていられることに心からの感謝を捧げることで、あなたは自分のための幸せなサッカーに没頭できるようになるでしょう。その先のことは、そういう時期を経たあとの自分が決めればいいことなので、今は余計なことは考えない!
2つ目は、これまでサッカーができたことを喜び、感謝してサッカーを卒業する。
もしかするとあなたは、自分の才能に見切りをつけ、別の人生を歩き出したいと望んでいるのかもしれません。そうだとしたら、勇気を奮って「今さら引き下がれない」と考える自分を乗り越えるときがきています。
どんなこともいつかは終わりを迎えます。そのときを決めるのは自分。まわりの落胆や人の目におびえないで、これまでの体験から培ったものを踏み台にして次の世界に飛び込んでいけばいいんです。
ここでは、まわりの否定的な声を黙って受けとめる。そして、自分の選択には自分で責任を持つという覚悟がたいへん重要です。その覚悟を持って臨むなら、新しい目標に向かう活力もわいてきますよ。自分は「逃げ出す」のではない。「新たなことに挑む」ためにサッカーを卒業すると肝に銘じてください。
最後に、あなたが中学から1つのことをずっと続けてきた、きびしい練習にも耐え抜いてきたことは、とても立派なことだと思います。数え切れないさまざまな苦しみもあったはず。でもあなたはがんばってきたのです。その事実は見えない財産になって、あなたを生涯支えてくれるでしょう。