9年間も人格を否定されるなんて、つらい体験をしてきましたね。あなたは、そういうつらさや心の痛みがよくわかるから、弱い立場で苦しむ人々を助けたいという気持ちが強くなったのでしょう。
それで看護師を目指そうとしているなら、それはすばらしいことだと思います。だったらなおのこと、今も気持ちにフタをして苦しんでいるあなた自身を救いましょう。今のうちに真剣に自分と向き合って、抱えたトラウマを超えていく必要があります。
なぜなら、看護師というのは、患者さんの求めに応じて医療と愛を与える仕事ですから、自分が与える余裕をなくしてしまうとキツイからです。看護師という仕事にやりがいを見出そうと思うのなら、もっと強くなりましょう。
あなたの中には、弱くて苦しんだ過去の自分を救うためにも、人を救う仕事をしたいと思う「外に向かう気持ち」と、いまだに心の傷が癒されてなくて閉じこもるほうがラクだと思う「内に向かう気持ち」があるようです。
外に向かうあなたは、とってもがんばり屋です。それは、長らく自分を否定されてきたために、ここで認められたいという強い欲求の表れ。だから、ついやり過ぎてしまうのです。本当に自分を愛していたら、自分を壊すようなことはしないはずです。
がんばることはステキなことですが、もうがんばりすぎないで。自分の体と毎晩、話をするようにしましょう。そして、ちゃんと返事をしてください。「わかった。明日は少し休むね」とか「もう、これ以上こき使わないから大丈夫」というように。
少しずつ自分との付き合い方を覚えていくと、自然に思いやりにあふれた返事ができるようになっていきます。そうして交わした自分との約束を、ちゃんと実行していくことが、自分に愛を注ぐということなのです。
次に、内に向かうあなたについて。人とのつながりを避けてこもりたくなるのは、自分が追い詰められていると感じるからでしょう。そうなるのは、あなたが人に対して正直な気持ちを見せようとしないからです。
正直に見せて受け入れてもらえなかったら……と拒絶されることを恐れる気持ちがあるからだと思いますが、正直にいわなくてもあなたは現に苦しんでいますよね? だったら、自分をわかってもらえるほうにかけて、一歩前に足を踏み出しましょう。
打ち解けたいと思う相手には、心の傷を隠して付き合うよりも、心の傷を打ち明けて付き合うほうがはるかにいい関係を築けます。あなたのことを本当に理解したい、助けたいと思っている人はかならずいるから、まわりをよく見て選んでください。
そこで必要なものは2つ。1つは、想像力。もし自分が、目の前にいる人と逆の立場だったら……と想像してみましょう。相手がなにか心に傷を負っているように見えたら、あなたは「私に悩みを打ち明けてラクになってくれたらうれしい」と思いませんか?
もう1つは、勇気。9年間味わったつらい体験に比べたら、どんなこともそれには及ばないと割り切って、新しい行動を起こすことです。新しい行動は、新しい体験を生みます。それはあなたにとって、きっと温かな体験になるでしょう。だから、弱みを見せる勇気を持ってください。そうすれば、あなたは本当にやさしく強くなっていけますよ。