話下手をなおしたいという相談をよく受けます。多くの相談者は本当に話が下手なのではなく、「私は人と話すのが苦手。話下手」というレッテルを自分に貼ってしまい、その状況から逃れられなくなっているように感じます。
実のところ、あなたの問題は「自分をさらけ出すことに自信がない」「素の自分を受け入れてもらえるかどうかが心配で堂々とできない」ということにあるのです。
あなたが電話で仕事の話をすることは平気だというのは、1つの顔を見せていれば役目が果たせるので「自分が迷わないせい」だと思います。しかし素の自分を披露しようとすると、どの顔を見せれば自分らしくいられるのかと迷ってしまうのではありませんか。
友達に対しても同じで、複雑な感情を抱けば抱くほどそれをどう伝えればわかってもらえるだろうかと迷って、結局「そんな自分の戸惑いを理解してもらえなかった」という苦い結果を味わっているような気がします。
それだけあなたは正直者だということです。いつも「ちゃんと自分のことを伝えたい」と望んでいるからこそ、うまく話せない自分を責めてしまうのでしょう。そこから1歩踏み出して、「自分はいくつもの顔を持っているし、いろんな感情があるんだから、一度に全部は見せられっこない!」と開き直ってみてください。
そして、少しずつ自分を見せていこうと思えばいいんです。とにかくあなた自身が人との会話を楽しめなかったら意味がないので、もう迷わなくて済むように"話下手を返上するテクニック"を身につけましょう。それを2つお伝えします。
1つ目は、仕事仲間や友人と会話するとき、相手に気持ちよく話をさせる『名聞き手』になれるよう"オウム返し"を活用する方法です。
相手の話を聞くとき、あなたは軽く頷く程度でわりと黙って聞いていないでしょうか。 これからは頷く代わりに、相手が話したフレーズを即座にくり返す"オウム返し"で相槌を打つようにします。「ふーん、○○したんだ」「えー○○したの?」「○○だとは知らなかったわ」という調子で、これを相手の目を見て言ってください。
すると、実際にはオウム返しをしているだけなのに、まるで二人で話の場を盛り上げているような雰囲気が生まれます。それで相手は気持ちよくしゃべり続けることができるんですね。
2つ目は、唐突なようでシラケさせない話題作りの方法です。「こう見えても、私○○なんですよ」という切り出し方を覚えましょう。
これならばいつでも相手の関心を引き寄せることができます。「こう見えても」は、あなたが想像するところの自分に対するまわりのイメージ。「○○なんですよ」は、相手が知らないであろう自分の性格、趣味、もしくは過去の失敗談、それを1つ披露します。
その中身が意外であればあるほど、会話は盛り上がるはず。逆に言うと、ふだん自分をさらけ出していないあなただからこそ、いっそう意外性が引き立つんですね。これなら自分の一部分を語るだけなので饒舌である必要はないし、あらかじめエピソードを考えておくこともできるので気が楽だと思います。
こうしてあなたから心の垣根をとり除いていくことがとても大切です。それによって、あなたという人をきっとよりよくわかってもらえるようになりますよ。