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カウンセリングメッセージ

Vol.10 「怖いんです」

From よよんさん

最近、自分とは無関係な人間から襲われる事件が発生しています。私の住んでいる街でも「通り魔事件」が起こりました。自分とは何ら関わりのなかった人間から襲われてしまう。ひどい時には命まで奪われてしまう。気分も暗くなり、恐怖心でいっぱいになって社会で生きていくのが怖くなってしまいます。自分がいつこのような事件の被害者になるのかと想像すると、恐ろしくて涙が出てきてしまいます。街の中を歩く時も恐怖におびえ、どうしたら自分の身を守れるのだろうか、自分がこの先無事に生きていくことができるのだろうか、と思い悩んでしまいます。いつ襲われてしまうのか、襲われたくない、そんな目に遭いたくない、どうしよう、どうしたらいいんだろうと困惑してしまいます。本当に心配で心配でたまりません。私はまだまだ生きていたいし、もっと楽しんで希望を持って生きていきたいんです。なのに、こんな風に恐怖に襲われて絶望してしまうことが実際に起こっている。私はどうしたら良いのでしょうか?

 自分の意志に関係なく事件や事故に巻き込まれることを想像すれば、だれもが心に陰を落とすでしょう。あなたの言う恐ろしさはわかりますが、あなたの抱く絶望は"心の問題"だということを知ってください。

「私はまだまだ生きていたいし、もっと楽しんで希望を持って生きていきたい」と思っているにもかかわらず、もしかしたらあなたは「人生を楽しみ希望を持って生きていくこと」がうまくできなくて悩んでいるのではありませんか?

 つまり、あなたが「恐怖に襲われて絶望してしまう」と感じている対象は、今の社会ではなくて、今の自分。このまま何も変わらないかもしれない自分自身に対してなのではないでしょうか。それが心配で心配でたまらないというふうに見受けられます。

 あなたは、幸せな人生を送りたいと真剣に考えてきたはずです。でもこのままの自分ではダメ、幸せに生きる自信がないと感じたときに、その苦しさから逃れる方法を無意識のうちに探したのでしょう。

 そこで「物騒な社会のせい」にすることを思いついたんです。自分が幸せに生きられないわけを"こんな社会"のせいにして被害者におさまれば、今の自分を正当化できて苦しみから救われると考えました。しかし、問題は解決しませんでした。

 あなたの心は不幸のままでいることをいやがって、あなたを恐怖の世界に追い詰めていったからです。あなたは、ますます増大した苦しみを抱えて行き場を失ってしまいました。これが今のあなたの心理状態だと思います。

 あなたに迫りくる恐怖は、「通り魔」ではありませんよ。それは自分の心が作り出した「幸せを遠ざけるモンスター」。そのことに気がつかないと、今の状態から抜け出せなくなってしまいます。

 あなたの主張は、「雨が降ったら私は幸せになれない。お天気は自分の力ではどうにもならない。だから年中おびえて生きている」というのと変わりません。雨に備えて傘を持ち歩けば、あとは心をどこに置いて生きていくかということの方が重要でしょう?

 通り魔を例にあげれば、対策用のグッズを持参し、夜道をひとり歩きしないようにすれば、あとは心をどこに置いて生きていくかということの方があなたの人生にはずっと重要なのです。

 それでも思いがけない雨に出合うことだってあるかもしれません。だからこそ、普段から『人生に起こることは、そこから学んで乗り越えるためにある』という心構えが必要なんです。それさえあれば、空想に心を奪われて、まだ起こってもいないことを心配して恐怖に明け暮れることはなくなります。

 どんな恐怖も、幸せになりたいという気持ちの裏返しなんですね。人生が思うようにいかなくて自分はもうダメだと自信をなくしそうになっても、絶対に焦らないで。あなたが希望から目をそらさなければ、必ず突破口は見つかるから。

 これからあなたはうまく生きようと思わなくていいから、堂々と、いつも前を向いて生きていったらいいんですよ。「楽しく希望を持って生きたい」という気持ちに素直になれば、思いがけない幸せに出合えるから。そうして、今生かされていることにもっと感謝できるあなたになってください。

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Last Updated: 2007/10/17