あなたはとても幸せな子どもだと思いますよ。いつか必ず、お母さんの大きな愛を理解するときがくるでしょう。そのサポートをするために、それぞれの立場から助言しますね。
最初に、「好きにしなさい」という言葉が悲しかったというあなたについて。
あなたは遊びや習い事を好きにさせてもらえて嬉しかった反面、全部自分で決めることが重荷だったのでしょう。それは、"自由はたえず責任を伴うため"なんです。そういったお母さんの教育方針を理解するには、あなたは幼すぎました。
それで、困っても答えをくれなかったことや進路も自分で決めなければならなかったことを悲しみ、親を逆恨みして親のあり方を否定するようになったのでしょう。今回は母親にあからさまに心を閉ざし、無意識のうちに母親に復讐しているように見受けられます。
それと同時に、「親に愛されていると知っていても素直になれないわけをわかって!ひとりで何でも決めるのは心細かった。お母さんにもっと甘えたかったのに、できなくてつらかったんだよ」という気持ちをぶつけたいあなたがいますよね。
本当はお母さんが大好きだから、これ以上落胆させたり泣かせたりしたくないけれど、母親を責める気持ちがぬぐえず意地を張って冷たい態度をとってみたら、その結果ふたりとも不幸になった…それで困惑しているのだと思います。
次に「様子がおかしい。頼ってくれない」と泣いているお母さんについて。
子育てをする際に、「まだ子どもだから」という理由で親の考えを押し付けることは、親にとっては一番簡単なんです。現に、何でも親が決めて子どもに"答え"を与え、叱りつけながらしたがわせることが「教育」だと勘違いしている親は大勢います。
その弊害として、子どもが大人になっても自分の意見がわからない人間になったり、親のコントロールが苦痛で反発し、親子の断絶を招いたケースが多々見られます。
親が「子どもの好きにさせる」場合は、「自分で決める楽しさ」と「自分で決めた責任」について学ばせたいからです。でも子どもが幼ければ幼いほど、はがゆいことや危険なことを伴うので、辛抱強く見守りながら自立心を養えるように支援していきます。
それを教育と考える親たちは、「子どもには子どもの人生がある」「好きにさせるのは子どもを信用しているから」「自分で人生を切り開く力を身につけてほしい」と口をそろえて言います。それを子どもにいちいち説明するかどうかは親の性格によりますが、子どもの将来を思いやる深い愛と覚悟がなければできないことだと思います。
あなたのお母さんが「様子がおかしい。頼ってくれない」と言って泣くのは、娘が生きることを楽しんでないと肌で感じとっているのかもしれませんね。やっと娘を育て上げ、これからは何でも対等に話せると思った矢先なので、心配でたまらないのでしょう。
あなたは、今自分が「人間的に大きく成長できるかどうかの瀬戸際」にいることを十分自覚してください。
人間的成長を一口で言えば、『相手の気持ちを先にくめるようになる』こと。その逆は、『いつまでも自分のことしか考えられず、ずっと自分の気持ち(多くは過去の感情の正当化)にこだわり続ける』ことです。
どっちに立って母親と会話をするのか。どんなふうに気持ちを表すのか。それはあなたの課題です。広い世界で探したいという"自分自身"は、今目の前にいますよ。しっかり見つけてください。