負(マイナス)の感情をうまく出せなくて苦しい思いをしている人は、きっと大勢いると思います。私もそうでした。それは、その人が育った家庭環境が影響していることが多く、主な原因は2つ考えられます。
親から直接、「怒るな」「泣くな」「怒るのはよくない」といわれて育った場合と、逆に、あまりにも感情的に怒る親を見て、「怒りはいや」「怒る人は嫌い」「怒っちゃいけない」という刷り込みができた場合です。
いずれの場合も、怒り(不満はすべて無意識の怒り)を飲み込む子供になって、そのまま大きくなります。飲み込んだ怒りは心身をむしばみ苦しくなるので、心は限界に達すると、怒りを爆発させて精神のバランスをとろうとします。
これが今のあなたの状態ですが、溜め込んだ怒りをぶつけられ、責められる相手はたまったものではありません。だってあなたは、それまで相手が"小さな不満"に気づくチャンスをあげてこなかったのですから。これはあなた自身の問題です。
解決方法は2つあります。1つは、あなたが本当に「まあいいか」と思えるようになって、相手を許すことができるようになること。許せないのに"いい顔"をすると、問題がこじれていっそう相手を傷つける結果になるのです。
そんなふうに怒りを流せるようになるには、精神修養して心を鍛えるか、ひとりで怒りのエネルギーを昇華させる。例えば、クッションをたたきながら大声を出すとか、スポーツで楽しく体を動かして発散するというのが手軽な方法です。
2つ目は、怒りを溜め込まないで、小出しに不満を伝える方法を考える。もし口頭で不満を伝えるのが苦手なら、その日のうちに文章にして相手に見せるか、あなたの場合だったら"交換日記風のノート"を作ることをお勧めします。
書くことには、大きなメリットがあります。まず自分の感情を整理できるので、怒りの原因を分析できます。勝手に想像している相手の気持ちも確かめられます。また相手へのリクエストも、自分が反省した小さなことも伝えられます。そして黙りがちな相手から、ゆっくり返答をもらうこともできるのです。
さらに、会話とちがって文字は残りますから、やりとりしたノートをときどき読み返せば、お互いの理解を深め合う上で大いに役に立つでしょう。だから"お助けノート"だと思って、途中で破り捨てたりしないでくださいね。
あなたが自分のことをもっとよく理解して、きちんとセルフコントロールできるようになれば、相手を責めたり挑発したりしないで気持ちを伝えられるようになります。今は「怒らないようにしよう」ではなく、「怒りを相手のせいにするのはよそう」と考えるようにしてください。
ノートを前にしたら、最初に深呼吸! 相手をののしる表現はさけて、自分の気持ちを正直に書いていきます。相手のことをいうよりも、悲しいとか寂しいといった自分の感情を素直に表現するほうがいいと思います。
ご主人には、あらかじめノートを作ることを話して、「うまく言えなくて不満が溜まったら書いて渡すから、必ず返事をちょうだいね」と頼んでおきましょう。二人が前向きに挑めば、きっとみるみる関係がよくなっていくと思いますよ。