あなたの気持ちはとてもよくわかります。なせなら、私もかつてはあなたと同じように"八方美人の自分"にほとほと嫌気がさして悩んでいたから。心底やさしい人間になれない自分に失望し、また誰に対してもいい顔をして「NO」と言えない自分を責め、自分を好きになりたいのになれなくて本当に苦しみました。

　あなたは正直に自分を見据えて「真剣によくなりたい」と思っているから大丈夫。必ず自分を変える方法をマスターできますよ。それをお伝えしましょう。

「人に嫌われたくない」ということは、「人に好かれていたい」ということ。深層には「嫌われたまま生きていくのは耐えられない。嫌われて孤立することが怖い」という気持ちが潜んでいると思います。それで"いかにも受けがいい自分"を演出するんですね。

　たぶん接客業はうまくいくでしょう。にもかかわらず、あなたが自分を好きになれずに苦しんでいるのは、自分のことを尊敬できないからではありませんか？

　思い切って目標を変えることです。人に嫌われないことではなく、自分に嫌われないことを目標にしましょう。人に好かれるかどうかはあくまでも結果論。自分が尊敬できないような人物を、人が認めてくれるはずもないと思って。

　あなたが「こういう人となら一生付き合いたい」という人間像こそが、あなたの目標にすべき自分像です。それを、なるべく細かく思い浮かべてみてください。

　例えばそれは、いつも自然体でムリがなく、自分も人もごまかそうとしない正直な人？ 自分のことが好きで、自分を敬う気持ちのある人？ 自分にするのと同じように、他人にもやさしくできる人？ 他にもいろいろ思い浮かぶでしょう。

　これから自分の態度を決めるときは、そうして思い浮かべた"自分像"と照らし合わせ、もし「どこか違う」と感じたら勇敢に改めることが大事です。目標にする自分像がはっきりしていれば、気持ちが揺れなくなって人に振り回されることもなくなるから。

　たえず自分像から目を離さないで、あせらず少しずつ。「またやっちゃった…」というときは、その次から気をつけて。そうやって進んでいったら必ず変化が表れます。がんばっている自分をしだいに認められるようになりますよ。

　ただし、"完璧な人間"になろうなどと思わないでね。いいも悪いも、全部の要素をしたがえて生きていくのが人間です。だから、自分にわき起こる感情をさらりとコントロールできることに意味があるのです。

　いつか自分に正直でムリをしないあなたが生まれたときは、他人にも正直でムリをしないあなたが生まれています。私たちは自分に言ったりやったりすることを、無意識のうちに人にも言ったりやったりするからです。　

　最後にやさしさについてお伝えしましょう。あなたの本質は愛です。やさしさのかたまりです。だから「やさしくしなければ…」と力まなくても、恐れるものがなくなれば自然に愛がほとばしってきます。

　これがあなたの将来の姿です。さあ、目指す自分像をしっかり心に刻んで、「今日から、この私を生きる！」と真剣に誓いましょう。