あなたは少しもヒドイ人ではありませんよ。それどころか、実に心根のやさしい人だと思います。だから、友達の幸せを素直に喜んであげられない自分に戸惑い、途方にくれているのでしょう。
これからお伝えすることは、人間に一生ついてまわる"心の原則"です。あなたはそれを知るために必要な体験をしているだけ。これからは自分を最低だなんて思わなくてすむようにね。
だれかと一緒に喜んだり泣いたりしてあげられるやさしさは、"愛"です。まずそれが、あなたのどこからわいてくるのかを知りましょう。
はじめに「ガラスのコップ」を思い浮かべて、それを自分自身と仮定します。もしコップいっぱいに愛が入っていたら、あなたがだれかに向かって頭を下げれば、たちまちコップからその人に向かって愛が流れ出すでしょう。
でも、もしコップが空っぽだったら、あるいはほんのちょっとしか愛がなかったら、あなたが懸命にコップを傾けても愛は流れていきません。この状態でだれかを愛そうとしても、あせるばかりで疲れてしまいます。自己嫌悪に陥ったり、自分を偽善者のように感じたりするかもしれません。
あなたが味わっているのはこの状態です。自分を愛で満たすことをおろそかにした結果なんです。それに気づかないでいると、人間関係や学業にも派生して人生がうまくいかなくなります。もう自分を責めるのはやめて愛を注ぐことを考えましょう。
あなたは小さいとき、両親の愛をたくさん受けて、自分というコップから愛があふれていたと思います。今度はそれを自力でするんです。これが精神的に自立するということ。
友人や恋人を当てにして愛を奪いとろうとしてはいけません。それで得られるのは一時的な自己満足で、かならず不足感におそわれて苦しむことになるから。友人や恋人に心から愛されたいと思えば、まず"自分から愛すること"ですよ。
では、コップに愛を注ぐ方法をお伝えしましょう。――自分が最初に自分を認めること。自分にすでにあるものを数えること。いろんな人のお陰で生きていることを感謝すること。いろんな顔を持つ自分をおもしろがること。自分の心の声に耳を傾けること。人生には波があることを受け入れること。希望を胸に夢を追いかけること。
気持ちよく人を動かすものは、愛だけです。これは自分に対しても同じです。「いじめて脅す」のではなく「理解して応援する」ことでしか、だれも素直にしたがってはくれません。
例えば、自分に「嫉妬しないように、そう思わないように…」と命じることは、レモンをすっぱいと思わないように…というのと似ていてうまくいかないと思います。そうではなく、レモンを蜂蜜付けにすればすっぱくなくなるように、渇いた心を愛でくるめば問題は解決します。
そのためには「心にゆとりを持つこと」がとても大切です。なぜなら、心のゆとりが"愛のすみか"だから。そこから愛があふれてくるんですね。心のゆとりをとり戻せば、あなたは復活します。いつでも自分を見失ったら、そこに立ち返ってください。