あなたのように自分を追いつめて、居場所がなくなって苦しんでいる学生がどんなに大勢いることでしょう。でも、思春期に自分の居場所を見失うことは、性格の問題というより「そういう時期を生きている」ということだと思います。
中学から高校にかけての年齢は、自分を確立しようとする時期。つまり、それまで親や個性の強い他人に牛耳られて生きてきた自分が、「それはおかしい」とか「私はそうじゃない」と気づいて自分流を見つけ出そうとするときなのです。
ほとんどの人は、人間関係で摩擦を起こし、葛藤したあげく自己嫌悪に陥って絶望します。そんな自分が情けなくて、もう対処できないような気がして「こんな現実から逃げ出したい」と思うようになるんですね。
実は私も、その時期は死にあこがれてさまざまな想像にふけりました。自分に満足できない自分をもてあましていたような気がします。「自分を確立する」ことは、だれにとっても容易なことではありませんが、そこで自分は何をするかが問題なんです。
あなたは最初、現実から逃げ出す手段としてリストカットや大量服薬を選びました。でもそれは「自分を確立する」方向とは正反対の行動だったから、自信をなくして他人におびえ、ほかに逃げる手段が見当たらないと今もなげいているんですね。
さあ、今自分が置かれている立場に目覚めましょう! あなたが立っているのは、「どうしようもないところ」ではなくて「心の変革期」です。他人があなたのことを「こういう人間」と決めるのではありません。自分が思い込んだ人間にあなたはなっていきます。
だから、自分のことを「弱い、依存心が強い、改善できない」と決め付けて、否定する言葉を並べ立てることは、本気で「弱くて依存心が強くて改善できない自分になろう」としているのと同じことです。
これ以上、自分をいじめる自分をのさばらせておいてはいけません。親や他人から認めてもらえない自分を攻撃し続けても、何の解決にもなりません。「自分を痛めつけて傷つければ傷つけるほど、自分を確立できなくなる」ことをしっかりと自覚しましょう。
これからは、今までと逆のことをいったりやったりすればいいんです。自分を肯定して、少しでも自分で自分のことを認めて、これまでと"違う行動"をとってみること。それを命がけでやってもみないうちに、「できない」と思うのは甘えですよ。
だれかに何とかしてもらいたいと願っても、だれもあなたの代わりにあなたの人生を生きることはできないのです。それは、あなたの人生はあなたにしか変えられないということ。あなたの人生はあなたの自由意志で変えられるという意味です。
現実から逃げることばかり考えて苦しむのも、新たに自分を確立することに燃えてみるのも、あなたの自由。「思うようにならない」とぼやいているだけでは、いつまでたっても決して楽しく生きられません。
あなたは、もう充分つらい体験をしました。これからは、もっと自分にやさしくなりましょう。やさしさには、「正す」というきびしさも含まれます。自分を正せば、自分のことを信じられるようになります。
あなたが今より少し自分を好きになったら、少し夢が出てきます。そしていつか自分を大好きになったら、大きな夢を追いかけて生きられるようになります。今あなたが立っているところは、そこへ向かう入り口なんですよ。