10年間大丈夫だったなら、あなたの強迫神経症は治っていますよ。ただそのときの"記憶"が恐怖になって残っているのでしょう。その恐怖が生活に支障をきたすほど大きい場合を"トラウマ"といいますが、いやな記憶におびえることはだれにでもあることです。
問題は、"いやな記憶"を自分が超えようとするかどうかなのです。あなたは今回、自分の力で立派にそれを成し遂げました。「あきらめなかった」から。「くり返さないための努力をした」から。「よくなる自分を信じた」からです。
この3つは、生きていく上で必要不可欠なすばらしいこと。人は必死になってアクションを起こせば、必ず苦難を乗り越えるヒントをつかむことができます。この先、あなたがこの3つを忘れなければ、いやな記憶におびえ不安にしばられることはなくなると思います。
それは、もう「人生から不安が消える」「泣き出すことがなくなる」という意味でなく、「立ち直る時間がどんどん短くなる」という意味です。不安に襲われても、瞬時に切り替えられるようになればそれでいいからです。
人が人生の苦しみから逃れようと試行錯誤する姿は、その人の中の愛に目覚めようと必死になる姿でもあるんですね。人生でどんな体験をする自分も愛することができれば、もう「私は不幸だ」と苦しまなくて済むからです。
ということは、あなたが幸せにやすらいで生きたいと望むなら、意識を覚醒させるしかありません。
これから先の人生で、たとえあなたが病気や災難に見舞われることがあっても、苦しいことから逃げようとしなければ、飛躍的に成長できます。だから不本意なことでも、「生きるとはそういうこと」「これは心の糧」と割り切って乗り超えていってください。
私もあなたと変わらない生身の人間です。ただあなたより先に、人生を見据えて割り切っただけですよ。メッセージを発信するのが仕事なので、毎日のように「自分を振り返る」ことで確かに救われていると思います。
振り返って自分の未熟さに涙ぐむことも、感謝があふれてきて泣き出すこともしょっちゅうです。でも未熟ということは、さらに成長できるということだから、そんな自分を楽しもうと言い聞かせて改めて目標を掲げるんです。
心を静めて反省すると"謙虚"さが戻ってきます。感謝すると"やさしさ"が戻ってきます。精一杯自分を応援してだれかの役に立ちたいと願えば"愛"が見えてきます。そうやって自分を愛しそこなわないことが、人を愛しそこなわないヒケツだと思います。
あなたは、もう自分を愛しそこなわないようにしてくださいね。どんなあなたも愛すべきあなたです。怖いことも、楽しいことも、いやな記憶も、まじめな思考も、世界の海がひとつにつながっているように、そのすべてが"あなた"なのです。
覚醒した今の意識を忘れないためには、毎日少しでもその気持ちにひたることがとても大切です。気に入った言葉を紙に書いて目に付くところに貼るとか、好きな本に目を通してから眠るように心がけてみてください。
苦しいときの努力より、毎日の努力を楽しんで続けることが、心を鍛える近道なのです。日常生活の中に、自分の心と対話する「振り返りの時間」をぜひ作りましょう。