私が初めて著書を手にしたときの気持ちは、歓喜と感謝と達成感と戸惑いでした。今ごろあなたは、それをかみしめていることでしょう。出版を決して諦めなかったあなたから、使命感のようなものが伝わってきました。
自分のやりたいことを見つけた人は幸せです。やりたいことをやり遂げるたびに、たくましくなっていくから。ただし、あせってはいけませんよ。あなたは今回の人生の使命を胸に、ようやくスタートラインに立ったところかもしれません。
現代人は、だれもが「うつ病予備軍」といっても過言ではないような気がします。窮地に立たされても平気という自信に満ちた人がどのくらいいるでしょうか? みんな、漠然とした不安を抱えて生きていると思います。だから、心の病に追い込まれながらも復活した人のメッセージは重いんです。
あなたはウツ病と向き合い、「だからこそできること」に目覚めて、突き動かされたようにして詩を書きました。もし、心の詩を書くことをライフワークにしたいと思うなら、有効な準備をしましょう。
それは、目の前にいる人たちから、心についてもっと学ぶことです。さらに、自分の置かれた場所で自分の思いを言葉にして伝え、感動を得ることです。
今は、自分を役に立たせる手段を出版に限定しないで、まずあなたを受け入れてくれた人たちに"恩返し"のつもりで対話を始めたらいかがでしょうか?
具体的には、学生にあなたの本を読んでもらって、それをきっかけに「自分の心との付き合い方」についてディスカッションしてもらうとか、あなたが学生と質疑応答の機会を持つというアイデアです。
教師が学生に教えるのは、専門知識だけではないはず。生き方や心について、学生たちが興味を示せば大きな影響を与えられると思うのです。この機会に、縁あってあなたの前にいる学生たちの力になってあげてください。
その結果、若者が心の扱い方がわからなくて悩んでいたり、ウツ病を恐れる胸のうちがダイレクトに響いてくれば、それはあなたが詩を書く上でも大きな刺激になると思います。
詩に託すメッセージは、書き手の自己満足に終わったら共感されないし、受け取る側が求めているものでなかったら支持されません。
心を開いて学生と触れ合うことができれば、さらに「いいものを書きたい!」という情熱がほとばしると思うから、どんどん書き溜めて力をつけましょう。
あなたにとっては、今自分の目の前にあるもので"有意義な楽しい時間を作り出す"ことが前進なのです。それによって、どんな人生でも人の役に立って生きるという気構えができるんですね。
そんな自分を目指していけば、きっと新たなチャンスを引き寄せるでしょう。それが出版社なのか新しい職場なのかわかりませんが、輝く未来は"一途な明るい思い"が創り出すことを忘れないでください。
あなたは決して、苦しむためにウツ病になったのではありません。その体験を超えてすることがあるから、あえてその体験をしたのです。「人生に起こることには、無駄も偶然もない」と信じ、自分に誇りを持ってまっすぐ進みましょう。