第七話「はじめての嘘」   第八話「男の脳と女の脳」  


 

第八話

男の脳と女の脳

 

 どんな人にも必ず両親はいます。育てたか、認知したかはともかく男女の協力なくして

あなたは生まれてこられなかったのは確かです。そして多くの場合は両親が責任を持って

育ててくれます。

 さて、両親は男と女ですね。この二人の仲が良かったかどうかが子供の情操教育に大き

な影響を与えます。古き昔から男女間の緊張関係はドラマを生み、詩歌を生み、ひいては

戦争まで起こしてきました。

 男と女の間には深くて暗い川がある...とその昔唄っていた歌手がありました。多くの

場合悲喜劇は互いの違いを認識していないことが原因だったのではないかと思います。

近年MRI(磁気共鳴映像装置)やPET陽電子放出断層撮影)などの機械によって発見

された脳の機能から男女の違いについて見てみましょう。

男女の脳は構造的に違うそうです。大脳の新皮質は左右に分かれていますが、この二つ

の脳を結んでいるのが約2億本の神経線維の束で出来た脳梁です。脳が働いている時には

この脳梁が左右の連絡を常時とっています。UCLA(カリフォルニア大学ロスアンゼルス

校)のゴルスキーとアレンはMRIを使って男女264人の脳を調べ、女性の方が脳梁の後

部の膨らんでいる部分(膨大部)が男性より大きく、また形も男性がチューブ形であるの

に対し女性は球体形だったことが分かりました。膨大部の大きさに関する研究結果として、

ひとつには言語能力の高さが発見されています。女性の方がいわゆる「口達者」と言える

そうです。

 次に、動物脳とも呼ばれている本能を司る脳の左右を繋いでいると同時に新皮質と動物

脳を繋いでいる前交連という部分が女性では男性より平均12%も大きかったそうです。

動物脳には情動を司っている辺縁系があります。この部分と新皮質全体を繋いでいる前交

連が敏感すぎると情動の活動が過剰になり、極端な場合はパンクして起きるのがパニック

アタックだと言われています。女性の方が一般に感情表現が激しいというのも一理あるわ

けです。また、他人の感情表現に関しても女性のほうが敏感であるという調査結果も出て

います。女性に喜怒哀楽の表情をした俳優の写真を多数見せると、ほぼ100%指摘でき

るのに、男性は的中率約70%だったそうです。女性は人の顔色を見て、機嫌がすぐ分か

るのに男性は気がつかないことがままあるというわけです。

 女から見て不可解としか思えない男の行動や、反対に、男から見て不可解な女の行動は

構造的相違からも来ていたのです。違っていてあたりまえなのです。それをしっかり弁え

た上でなるべく誤解が生じないように上手にコミュニケーションをすれば悲劇もずいぶん

回避でき、結果的に夫婦仲が円満になれば、子供たちものびのびと育っていかれるでしょ

う。また、「親を見て育つ」と言われる子供たちも円満な家庭を作れるようになるという良

い循環が始まるかもしれません。

 ひとつ字を見てみましょう。弁という字はベンと読むと「話す」つまりコミュニケーシ

ョンするという意味で、ワキマエと読むと「ものごとの違いを区別して明らかにする」と

いう意味になります。違いを明らかにしてコミュニケーションすれば誤解は大幅に避けら

れるでしょうね。

 さらに、弁を分けて見ると、ムとナと十になります。日本語の数字読み(ヒフミヨイム

ナヤコト)でムは六、ナは七、十はそのままで組み立てなおすと七十六になります。この

数値がなんと人間の口の構造から単音で発音できる限りの音全部と同じ数なのです。