「軌道修正」   「愚考」


軌道修正

 今から十五年ほど以前、あるオランダの環境保護運動推進家に聞いた話ですが、ほとんどの人間は今までの生活習慣をガラリと修正するようなことはなかなか出来ない、しかし、少しずつ軌道修正するというのなら可能だし、実際に自分にも出来たとのことです。

「これからは心を入れ替えて、○○に専念します」と言うような決心を口にしたら最後、その約束の重さに自ら耐えかねて、しばらく経つと何とかかんとか理屈をつけてやらなくなってしまう、という例が多いのではないでしょうか。生活習慣とは恐ろしいもので、その後に病という字を付けて熟語になってしまうほどのものです。はん? はいそうです、生活習慣病です。病気になるというのは止められなかった結果です。つまりそれほど止めにくいということになります。

 ですから、実行可能なやり方で行う方が実際的なのです。幾つか例をあげましょう。

 心臓病。糖尿病。高血圧。動脈硬化。通風。脂肪肝、等々。 これらは大方が飽食による病気です。ダイエットしてもなかなか上手くいかない。一時は出来ても継続は難しい。でも継続しなければ治療効果はありません。

 
 食べる量を一割減らせませんか? たった一割ですよ。「うん、まあ、出来そう」ですか。 さて、一割減らすためには今までどれだけ食べていたかを調べなければなりません。そこで一週間毎日食べたものを書きとめます。無意識に口に入れていたセンベイ一枚、アメ一粒までも残らず書きとめます。それだけで、まああきれるほどたくさん食べていたのに気づく人が多いと思います。これだけでもすでに効果があります。自覚という効果です。それが推進力となって一割減の実行が可能になると思います。その時に一時に半減しようと頑張らない方が良いと思う。お腹がへって力が出なくなって、気力が失せたついでに減食を止めてしまう可能性大だから。体は急激な変化に対しては一種のショック反応を起こすことが多いので徐々に変える方が良いらしいですよ。

 
 他にも飲酒癖や喫煙癖、衝動買いなど修正したい事柄があったら、まず実行可能な目標を建てると良いと思います。それからもう一つ、継続の秘訣は数値を記録することです。これをどこかに張っておいて眺めては自画自賛。自分をほめて下さい。例にあげた食事の一割減ですが、何ヶ月か続くと体はその状態に慣れてしまいますので、さらにもう一割減とやってみて、結果的に体の調子が良くなり、体重が減れば成功です。最終的に何割減らしたいのかは各自の問題ですが、結果が満足するものでなければ足りないということは言えます。

 この成功が次なるステップへの推進力となります。徐々に減らす方法が最適ではないような問題もあります。嗜好品の中でもタバコは減量より完全に止める方が向いているように思います。これについては又書きます。

2003/05/16