あなたの戸惑いはよくわかります。また、あなたのやさしさも伝わってきます。これは彼女自身の心の問題ですが、結婚した以上はあなたの問題でもあります。彼女が別れたいと思いつめるまで、二人の問題として解決することができなかったのですから。
彼女が楽になって二人が再び幸福に暮らすためには、あなたが彼女の心理状態を理解する必要がありますから、それをお伝えしましょう。
彼女は、「部屋があっても心の場所がない」といっています。これは「自分の楽しみがない」ということです。自由にできる時間が心理的にない、好きなことをして楽しいと感じる時間を作れないという意味です。
でも、そのことを本人が自覚していないところに問題があるようですね。初めは「結婚したんだから仕方ない」といい聞かせ、次に「嫁としてはよくしてもらってるんだから」と慰め、それでも満たされなくて、夫のことは好きでも「一人暮らしがしたい」と思う。これは典型的な迷いの状態です。
自分が何をどう活かせば楽しく過ごせるかわからないこの状態が続くと、「誰にもわかってもらえない」という気持ちに追い込まれます。すると、苦しみから逃れるために「これがなければ…」という消去法に入って、嫌っているわけでもないのに、家、妻の座、夫までいらないということになってしまうのです。
もし、あなたと共有できる楽しみがもっとあったなら、それを乗り越えられたかもしれません。でも現実は、パートナーを得て「得たもの」より「得られなかったもの」のほうが大きくて耐えられなくなったのでしょう。つまり、二人が「一体感」よりも「分離感」の横たわる関係しか築けなかった結果なのです。
彼女の場合、他にやりたいことや好きな人ができたわけではないので、きっと逃げ出したふがいない自分を責めていると思います。だから、あなたもつらいでしょうけれど、復縁したいならば、傷ついて疲れ果てた彼女をいたわってあげる気持ちが不可欠です。
彼女がもう一度、「この人と生きていくのは楽しい」と思えば「分離感」は振りほどかれますが、そのためには「夫はわかってくれた」「今度は大丈夫だ」と感じなければむずかしいからです。
今あなたにできることは、恋人同士のころのようなぬくもりや楽しみをうまく生活に組み入れ、彼女の趣味や好きなことを応援する関係を築き直すこと。それに精魂を傾けることです。彼女に希望と自信をよみがえらせるには、それに対するあなたの誠意と情熱を示すしかありません。
もし、彼女が戻る上で「二人だけでしばらく暮らすこと」を強く望んだのならば、それもぜひ考えてあげてください。いくら舅や姑がよくしてくれても、あまりに急激な環境の変化に馴染めない場合がありますから、たっぷり時間をかけましょう。
最後に、もうこうなってしまったことに対して「誰のせいだ」という会話は、傷を深め合うだけで前進がありません。これから何ができるかを考えてください。ご両親にもその辺をきちんと説明して受け入れてもらう体制を作っておくこと。それも、あなたの大事な役割りだと思います。