「自分にとってよりよい人生を生きたい」と願うのは大切な気持ちですし、あなたが真剣なのもよくわかります。では、あなたの問題を整理していきましょう。
まず「結婚したいくらい好きだから一緒になる」というのと、「子供ができたから結婚する」のは、どちらの選択が正しいのか?ということについてですが、どちらも正しいと思います。なぜなら、「正しい結婚」などというものはないからです。
子どもに対する考え方も結婚観も人それぞれで、いつでも変更可能です。ましてやそれは、とても個人的な領域のことですよね。だから、「一般的に正しいこと」を求めるのではなく、「自分にとって正しいこと」を信じて貫けばいいと思います。
では、何が自分にとって正しいのかといえば、「幸福をより大切にできる生き方」ということになるでしょう。あなたにとっては「幸福な生き方」=「自然な暮らし」のようですが、ひとつ大きな勘違いをしていませんか。それは、「自然」と「自由」をはき違えている点です。
結論からいえば、結婚したら独身時代のように「自由な暮らし」はできなくなっても、「自然な暮らし」はできるのです。ところが、あなたは「みんなが自然に生活していけたらいい」といいつつ、「独身のときは自由気ままに生活してきましたが、結婚と同時に何か責任感みたいなものがのしかかってきて、それと同時に急に身の回りを気にする生活になりました」と訴えています。
ここから、あなたは「やりたいことがやれない不自由さ」に不満を抱いているように感じます。あなたが結婚前に手にしていたものは「自由」だったのに、それがあたかも「自然」のように映ったのでしょう。でも、もしそれが本当に「自然」だったならば、結婚しても、転職しても、引越ししても消えるものではありません。
「自然」とは、自分の態度や思考をその場に応じて一番適したものに変えられる生き方です。「自然な暮らし」とは、常に無理のない自分で生きていくというライフスタイルを指します。柔軟性があって不満がないことが「自然に生きる」ということなのです。
それに比べて「自由」は、自分はこれがしたいと思いついたことがいつでも勝手にできる状態です。具体的には、自分の時間やお金を興味のあることに使えるということです。「自由な暮らし」とは、そうしたことに幸福が根ざしていて、それが満喫できるライフスタイルをいいます。
あなたは、今味わっている「不自由な暮らし」を真に「自然な暮らし」に切り換える必要があると思います。真剣に「自然体」で生きることを工夫していけば、いくらでも人生はおもしろくなるし、同時に息苦しさもなくなるでしょう。
そのためのコツは、「今置かれている環境を楽しむ」ということに尽きます。
わたしたちは『今できないことをしたい』と思うと不自由を感じますが、『今できることを楽しもう』と思うと自然体でいられます。それが、今味わえることや起きていることを発見し、喜んで受け入れていく態度を作っていくのです。
あなたの場合だったら、「子どもが日々成長していくさま」をいっしょになって楽しんだり、今その年令でしか味わえない子どもとの関わり方を満喫しながら、それに沿う結婚生活を営もうとしたらどうでしょう。自在な心に、本来の「自然」な生き方があると思います。
あなたは「各自がやりたいと感じている事柄を、生活に生かしたり仕事に生かしたりする人生」を望んでいると書いていますが、それは少しもむずかしいことではありません。
「不満」を動機にしなければ、「自然」にそうなっていくからです。自分を活かして生きるというのはとても自然な営みです。そのときに、「自然」とは「心が自由であること」だと知るでしょう。