2001年1月のエッセイは、[命波コーナー]に掲載されています。
2000年末にデコに下った天のメッセージ
     「日の本大和(ヒノモトヤマト)」


〜2月のエッセイ〜

観自在


 何かが存在するためにはそれを存在させている「場」が必要です。
例えば地球は宇宙空間に浮かんで存在しています。あらゆる恒星、惑星そして惑星上に存在するあらゆる物質的存在は空間が存在するおかげでぶつかって押しつぶされることなく存在し得ているわけです。言い換えれば、空間という何もないところが「在る」おかげで、物質は「在れる」わけです。存在は非存在に依存しているとも言えます。非存在は存在に依存しなくても在れます。いわば自立しているわけです。

 さて、何かが何かに依存しなければ存在できないのなら依存される方は実在しないとは言えなくなります。無いものに依存して有るものが在れるはずがないからです。実在が物質的である必要はないのです。

 少しまわりくどいですが、ここをしっかり把握しておかないと先へは進めませんので何度でも読み返して納得できるまで頭を絞ってください。頭は絞らない限り今までと違う新しい角度から物事を考察できるようにはならないのです。非常におおざっぱに言って、脳は筋肉に似て使えば使うほどうまく制御できるようになると同時に重さも増えるのです。

 人間の脳はグレープフルーツくらいの大きさでその中に約1千億の神経細胞があるそうです。この神経細胞の間には連絡繊維がありその総数は宇宙の原子の総数を超えるだろうと言われています。その脳には脳幹や小脳そして人体の恒常性維持機能を管理する大脳辺縁系という中のほうにある部分とそれを包むようにある新皮質というところがあります。新皮質は脳の最高決定機関です。情報処理機関とも言えます。

 前出の神経細胞と連絡繊維を合わせてニューロンと呼びます。ニューロンはアンテナのような樹状突起が刺激を受ける(情報を受け取る)と軸索を通じて他のニューロンや細胞に情報を送り出します。軸索は沢山の神経繊維をもっていますが、その終末をシナプスと言って細胞間を結合しています。シナプス結合はいくらでも新しく増えていきます。この結合の密度と多様性が経験量の多い少ないに関係しています。ニューロンの役割である情報処理とは新しい情報をまず分析し、過去の経験と突き合わせて決定を下し、最終的には行動を起こさせ、新たな経験を形づくります。新たな経験が増えると脳の重さも増加します。情報処理の突き合わせの対象になる情報量が多い程多くの分野での新たな情報をより高い精度で処理できるようになるわけです。つまり新たな情報を得て頭を絞るほど新たな経験が形成され情報処理がうまくなるわけです。

 物質が実在で空間が非実在だと思っていたあなたが、全く別の観点から存在を認識するようになると急に新しい可能性の門が開き、つぎつぎに新しい情報を得たいという意欲が湧くようになってさらに新しい経験が増えていきます。その結果は行動をも変えていくようになります。

 子供が母親にアンパンを一つもらいました。パックリ口を開けて食べようと思ったら、友達が来てしまいました。「一つしかないから半分こしなさいね」と言われて、半分に減ってしまったと考えるのは自分中心の観点です。「一緒に食べよう」と分けて仲良く食べる時は半分が二個で何も減ってはいません。半分もらえてニコニコしているもう一人の友達の喜びを感じとり、自分もおいしいと感じ、そこに共感というものが生まれて、楽しいか、半分に減ってくやしいかはその人の観点によって違ってきます。多くの観点から自由にものごとを判断する能力を「観自在」と言います。どのような状況でも常に楽しく明るい結果を生む観点を持っていれば幸せに生きられますね。


2001.2.2 静流