Vol.8 「自分を信頼してる?」
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連日のようにエリートといわれる人たちの不祥事がテレビで報道され、その度に、「信頼していたのに裏切られたようでショックです」と、関係者がインタビューに応える姿を目にします。はたして何を信頼していたのでしょうか? ここに、人間の信頼度をはかる 3つのポイントがあります。この3つが一致しているかどうかを考慮して人を見ると、信頼に足る人物かどうかがわかります。「何を考え」「どんな発言をして」「どう行動しているか」この三位一体が、信頼に足る人物の条件です。 すごい人に見えても、思っていることと言っていることが違えば嘘つきですし、いくら調子のいいことを言っても、行動が伴わなければ口ばかりの人ですよね。この当たり前のことが意外と見過ごされがちで、また、こういう人たちに期待するからがっかりさせられるわけです。 それでは、これを自分に置き換えてみましょう。 自分が普段放っている「言葉」と、「思考」の中味、そして実際の「行動」が一致しているかどうかです。自分のことは、自分がいちばんよくわかっていますよね。それこそ腹の中まで…はたして、あなたは信頼に足る人物といえますか? この「思考」「言葉」「行動」の不一致は、人からよく見られようとか、自分だけ得をしようとして無理をすることで生じます。もちろんその裏には、弱さを隠そうとしたり、自分を守ろうというエゴイズムが往々にして作用しますが…。 その中で、ほとんどの人が自分に対して、「これじゃウソツキだ」「また守れなかった」「なんて情けない」と、我が身を責めたり脅かしたりした経験があるのではないでしょうか。こうして私たちは、自分を裏切っては自信を失ってきたのです。 特に自責の念を抱くのは、自己嫌悪と自信喪失を生み出すだけで、最も自分を傷つける行為です。私たちに必要なのは、これからのために反省することで、これまでの自分を責めることではありません。 では、もっと自分を信頼できるようになるには、どうすればいいのでしょうか? それは、「思考」「言葉」「行動」を一致させるよう努めることです。一番好きな自分らしいと思う“ありのままの姿”を認めて、“これでOK”と決断すると楽になります。 もう他の人の思惑に振り回される必要はありませんから、その三位一体のまま生きていけばいいのです。それが、自分を信頼する、愛するということです。 同様に、自分に自信を持つ方法ですが、自分に自信が持てるのは、誰にでも何に対しても“偽り”がないときです。 人より抜きに出た能力があっても、胸中は自分が信じられなくて、好かれる自信のない人はたくさんいます。だから、エリートと言われる人たちの優秀さと人間性の高さとは、必ずしもイコールにはならないのです。 現代社会では、人を見極める眼力は不可欠ですが、そのとき、その人が自らを信頼し、愛しているかどうかはとても重要なポイントです。それは仕事だけではなく、家庭でもボランティアでも同じ結果を作るからです。 自分が誰かを愛そうとする場合、まず、自分自身というコップに信頼・愛が満たされていなければ、それは偽善であり無理であって、苦しいものになっていきます。 いっぱいに満ちたコップからあふれ出る信頼・愛があってこそ、他者へ無償の愛を注ぐことができるのです。 無理をした愛、空のコップの本性は、見返りを求めるエゴですから、結局は偽善です。だから、限界が訪れるのですね。 もし今、もっと心から自分を信頼したい、愛したいと思ったら、それ以上自分に無理をさせないで、「思考」「言葉」「行動」の三位一体を実践してみてください。 |
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