Vol.6

〜焦る可愛らしさ〜

 

 

 ジューンブライドの季節になると結婚の話題がよく出ますね。決まって結婚適齢期が取りざたされますが、20代が終わりに近づくと、「結婚したいときが適齢期よ」と口では言いながら、そうは思っていない女性、急に焦りを覚える女性が増えるようです。

 独身女性には、潜在意識の中に「締め切り感覚」というものがあります。一般には、30才を「結婚の締め切り感覚」と感じている人が多いようです。女にとっては、売れどきであり出産に支障のない年齢であり、よって世間体もいいと考えられる社会通念がそれを作り出しています。

 また、次に来るのが「女としての締め切り感覚」で、これは40才代が圧倒的。“女としてまだアピールするうちに恋の一花を咲かせたい!”という思いで不倫に走るケースも出てくるようです。

 そして、老後に襲ってくる「人生の締め切り感覚」もあります。“元気なうちに何かしたい、このままでは価値がない、刺激もなくて人生不満だ”というものです。

 そもそも、締め切り感覚は、まわりの勝手な都合ですり込まれている“余分なもの”に過ぎません。だから、不必要!と振り切れるのなら問題はないわけですが、とはいっても、こういう価値観社会で育てられた哀しさで、心のどこかに拭い去れずにあるのも現実ですよね。 

 実は、この締め切り感覚からくる焦りとどのように付き合っていくかで、自分をもっと愛せるか愛しそこなうかの分かれ道があります。焦りを覚えた結果、恋のチャンスを逃すこともあれば、人からより支援されてうまく運ぶこともあるのです。

 つまり、誰にでも人生のいろいろな場面で体験する“焦り”は、その人をイキイキ輝かせるエネルギーにも使えるし、イライラ苦しくさせるエネルギーにもなるということです。

 このエネルギーを上手に使うには、まず、自分の反応を知ることです。締め切り感覚に襲われると、大別して3つの行動パターンが表れますので照らし合わせてみてください。

 心の焦りを素直に表に出して、そんな自分を笑いながら楽しめるエンジョイタイプと、焦りを殺してクールに構え、「結婚なんて!」あるいは「所詮人生なんて…」と超越したような素振りをするカモフラージュタイプ。もうひとつは、素直というよりガツガツ怖い顔をして、「アセルアセル」と動き回るストレートタイプです。

 どのタイプが人間的に好感が持て、魅力的に映るでしょうか? 逆に、距離を置きたいと思われるのは? もう、おわかりですよね。

 一方、“焦る醜さ”とは、まだ手に入れられないことを人のせいにして、例えば「ろくな男がいない」とか「まともに相手にしようとしないまわりが悪い」といった反応をするとき、また、「あの人ばかりうまくいって悔しい」と他人の幸福に嫉妬するときににじみ出てきます。

 焦る気持ちから、何とかしなくちゃという強迫観念に囚われるのではなくて、焦っている自分を眺めるもうひとりの自分を持ちましょう。その客観的まなざしから自分の様子を観察してください。そうすると、やたらに焦ることがバカバカしく映ったり、そんな自分が可愛く見えてきたりします。 

 この“焦る可愛らしさ”を発見すれば、焦りをマイナスの感情と決めつけないで、プラスのエネルギーに使えるのです。笑って楽しんだりバネにして動くことができるようになるでしょう。

 改めて、「絶対に幸せな結婚をする」「必ず誰かの役に立つ」って信じて、自分の“今”できることを選んで実践していってください。

 “焦るのは、人生に夢がある”ということです!

 



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