〜不安なんか怖くない〜

Vol.3

 桜の便りが届くころ、期待と不安で胸をいっぱいにして新しい職場や環境に飛び出して行った人たちが、1カ月もすると「こんなはずじゃなかったのに…」と思い悩んで、ついには出社拒否や登校拒否。これが、五月病といわれるものですね。

 4月から抱え始めたストレスが積もりに積もって、飽和状態になる5月ごろに現象として表れることからこう呼ばれますが、いわば、心がバランスをくずしはじめた4月に、すでに五月病に感染していたといえます。

 もしかしたら、人生の様々なストレスをため込んだまま、あなたは慢性五月病に感染していませんか? だとしたら、心がパンクする前に解決策を見つけてしまいましょう。

 こうしたストレスの原因は“不安”によるものです。私たちは新人に限らず、大なり小なり不安にさらされて生きているといっても過言ではありませんよね。

 この不安は“恐れる”という心理から無限に作り出されています。恐れが不安を育てているといってもいいでしょう。

 例えば、新しい環境に向かえば「私はうまくやっていけるかしら?」という不安は誰の心にも生じますが、その理由は、「自分の能力が評価されなかったらどうしよう…」「人間関係で好感を持たれなかったらどうしよう…」といった恐れが深層にあるためです。

 この恐れは、生まれた時からあるのではなくて、過去に能力や人間関係で思うようにいかなくて傷ついた経験から、それが今も不安を生み出すメカニズムになってしまっているのです。だから、一度も傷ついたことのない人に不安はありません。赤ちゃんを思い浮かべればわかりますよね。

 では、どうすればそうしたストレスを減らすことができるでしょうか。それは、あなたの中にある“不安”を“勇気”に変えればいいのです!

 実は“不安”と“勇気”の源は同じエネルギーです。いわゆる“愛”と“憎しみ”の関係と一緒で、心のベクトルが反対向きになって表れているだけです。

 恐れから不安が作られるとしたら、勇気は信頼から得られます。つまり心は、恐れれば不安になり、自分を信頼すれば勇気が湧き起こるようにできているのです。

            《不安》《勇気》

    心のベクトル      

            《恐れ》《信頼》

 表裏一体の不安と勇気、恐れと信頼は、心の中を行ったり来たり揺れ動いています。だから必要なのは、心の状態を常に左から右へ持って行くこと。不安と思っている負のエネルギーを、正反対の勇気パワーとして使うのです。

 それには、不安がわいて来たなと思ったら、自分が意識して勇気に切り替えるしか方法はありません。声に出して、あるいは心の中で宣言してください。「私は今、不安を勇気に切り替える!」と。

 これが案外と効果があるんですね。その後に出す結論や行動が、確実に不安のままの自分とは違ってきます。私はそんなことを積み重ねて歩いてきました。

 そうすると、いつしか自分に対する信頼が自信につながていきます。うまくできるから自信が持てるのではなくて、自分の精一杯に納得できるようになるのです。

 周囲の目や評価を気にするあまり、萎縮したり躊躇している不安なあなた、「私はこうしたい」という行動ができる勇気パワーを、すでにあなたは持っているのですよ。

 



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