Vol.20

 「宇宙預金」

 

 人間にとって最も幸せな精神状態は、"心から安らいでいるとき"だといわれています。

 私たちが、それを最初に味わったのはお母さんのお腹の中。それで、そのとき聴いていた母親の鼓動音を、赤ちゃんを安らがせるのに使ったり、クライアントを落ち着かせるためのセラピーで使用したりするのです。

 人が精神的に求めて止まないものの象徴として、『3安』=「安全・安定・安心」をあげますが、実際には、これによって人々は"安らぎ"を得ようとしているのでしょう。

 でも、今はどこに『3安』を求めればいいのか見えなくなっている時代ですよね。銀行にまで期待を裏切られ…社会にはない、会社にも家庭にもない…もちろん、自分の中にはとっくにない…。

 物理的なものに『3安』を依存しては踏みにじられ、"安らぎ"への頼みの綱は切れてしまった状態です。目に見える形にこだわって『3安』を確保しようとしたから、数字から離れられずに安らぎとは逆行して、心は浅ましくなる一方で疲れてしまったようです。

 そこでお勧めしたいのが"宇宙預金"です。いわば愛の積み立てです。確かに金銭は生きていく上で有効ですが、宇宙預金を忘れてやっきになってお金を集めたところで「あの世へ持ってってなんぼのもんや」という世界になりかねません。

 別の表現をすれば、自我が喜ぶのが銀行預金で、魂が喜ぶのが宇宙預金です。あなたは、あくまでも自我と魂の合体物であることを思い出してください。

 あなたの自我が何といおうが、あなたの魂にとっては「良いことをしてバカをみる」こともなければ「私ばかりが損をする」こともありません。それどころか、「良いこと」と「進んですること」でしか宇宙預金はできないのです。

 ようは、あなたがこの世を離れる段になって、どっちの預金がいっぱいだったらあなたは安らいでいるかという問題です。

 宇宙預金が自然にできるようになれば、"安らぎ"という利息は貯まる一方なのです。もちろん引き出すのは自由ですが、自我の自由ではなく魂の意志によります。具体的には、"他人が進んで助けてくれる"という宇宙の計らいとして返ってきます。

 ミレニアムは、それが当たり前と認識される時代、それを知っている人たちが築いていく新時代になるでしょう。ひとりひとりが宇宙預金をせっせとすることで人類救済の大仕事はなされます。なぜなら、それぞれの魂の意志は、人類としての一つの意志と実は同じだから―。

 宇宙預金は、何も大仰な行為ではありませんよ。まず、自分を愛そうという気持ちと同じように隣人を慈しめば、自愛が慈愛の源になってくれます。それは、あなたの笑顔になったりやさしい言葉だったり手助けとしてあふれ出でくることでしょう。

 目の前の事や人をああだこうだと批判しないで、丸ごと受け入れて自分のできることをしてあげればいい。そして、自分のしたことに評価を求めなければ完璧です。余裕ができれば、そのまた隣りの人へも愛の行為を広げる…ただそれだけです。

 そして、あなたが意志を持って宇宙預金を始めたら、その後は積み立て額を忘れることです。いつ誰にどのくらい…と意識して、どこかで見返りを期待するのは自我の仕業ですものね。

 これまで私たちは、お互いが奪い合ったり競い合ったりして、互奪・互競の社会を作ってきました。そして今、人も地球も危機に瀕しています。

 心を静かにすると魂の訴えが聞こえませんか?『奪い合ったり競争し合うために私はこうして生きてるんじゃない。私は心から安らぎたい…』と。

 21世紀には、お互いを活かし合い恵み合う互恵社会が実現していくことでしょう。2000年はその橋渡しをするときだと思います。あなたも宇宙預金を始められてはいかがですか?

 



copyright (c) 1999 Yuriko Usami's Internet office. Mostrecent update: 12/24/99