〜自分を好きになれない症候群〜

Vol.1

 最近、“自分が好きになれない”という悩みを持った若い人が増えているようです。ところが、その大半の方が漠然として、これといった原因を認識しているわけでもないのです。

 あなたの心の中にも、ただなんとなく自分が好きになれない―そんな世紀末的な症候群が忍び込んではいないでしょうか?

 以前から、私は「人間にはただ必然としての個性があるだけで、それを生かすも殺すも本人次第。人の性格や容姿、能力などに本来善し悪しなんてない」と、言ってきました。 自分が良いところ、悪いところと思っている部分すべてひっくるめて、あなたの個性なのです。

 性格も容姿も家庭環境も、こうした事柄は自分が生きていくうえで“克服する”あるいは“生かす”ために与えられている条件。だから、他人と比較するのではなく、自分の個性をあるがままに受け入れようと決意してほしいのです。

 ところで、自分を好きになれない、という理由の原因には、幼児期の親子関係が潜在意識に大きく影響している場合があります。

 例えば、“親の顔色ばかり気にしていて不安だった”“親に愛された記憶がない”そして“親の期待に応えられなかった”というような体験をした場合、自分を好きになって自信を取り戻すためには、とても大変な心のプロセスをくぐりぬけなければならないことが多いのです。

 また、大きな失敗や失恋といった経験から、トラウマ(心の傷)を作ってしまい、自信喪失に陥ってしまうケースもあります。

 いずれの場合も、このような過去の経験から、自己評価を自ら最悪にしてしまって、“自分は愛されない存在”“自分には魅力がない”と、常に自分に対して×をつけてしまうのです。

 もし、思い当たることがあれば、自分を追い込んでいた原因が逆に見つかったということです。だからもう、今日からは自分を責めるのをやめましょう!

 自分を好きになれない原因、それは克服するために与えられた条件であって、あなたを形成している個性にすぎません。それを知り、そのことを超えて、あなたが精神的に何を得るかが一番大切なのです。

 大失敗も失恋も、つらい幼時体験も、また、容姿や性格に対するコンプレックスを味わうことも、すべてあなたにとって必要な体験だったと考えてください。そういう体験を味わった人だからこそ、人の心の痛みが誰よりもわかるはずです。それこそが、あなたにとって大きな財産です。

 このことがわかれば、もうそこにとどまる必要はありません。《人はなりたい自分になっていく》という言葉があります。意識(意志力)は、想像以上にパワーがあります。       “なりたい自分”をイメージして、そのとおりに振る舞ってみましょう。「そうなれる」と心から信じることができるかどうかがキーポイントです。

 それができたあなたは、次々に新しい“自分”を発見して、これからの人生を、魅力ある体験として送ることができるはずです。

 



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