はじめに | 第一章 舟を岸につなぎなさい | 第二章 潜在意識が容認しているもの |
       第三章 岸につなぐ綱 | 第四章 岸につなぐには


第四章       岸につなぐには

 

この大経綸からすれば、各国はそれぞれその経綸を行うための一ブロックであり、ブロックごとに

責任をもってその国々の風習や気候や気質に照合しつつ、最も効果的にその大経綸の実現化に努力す

べきであります。

 ゆえに、この大経綸の産院は各国共通のものであり、各国協力して建設維持すべきものであります。

 また、当然として各国もれなく参与すべきであり、全力を挙げて協力すべきであります。

 場所は各国の最も寄り易いところを選ぶべきでありましょう。

 国民を愛する元首や指導要路にある人々はもちろんのこと、人類の光輝ある存続をこいねがう人々

は、その内心深くで現代の政治がこのような確固たる大基盤上に置き換えられるべき機会を待ち望ん

でいられたことでしょう。

 率直に言って、

 これまでの人類だけを尊重することに基盤におく政治を俗綸政治というならば、

 万物を互いに尊重する大基盤上に樹立される政治を真綸政治というべきでしょう。

 俗というのは、

 人類のみの福祉追及を基本にするもののことを言い、

 真とは、万物共存共栄を基本とするもののことを言います。

 この真綸政治によってのみ、従来の俗綸政治による永きにわたった不備と貧困をことごとく解決で

きるものであります。

 もちろん俗綸も必要であります。しかし必ず俗綸は真綸に照合しつつ運転されるべきものでありま

す。

 しかり、

 俗綸を導く真綸の出現こそ、今日人類の断末魔に臨んで、ただ一つ、起死回生への妙諦(みょうた

い:優れた真理)であります。

 この大切な世界共通の新しき政治経綸の産院を持つか、持たぬか、 あるいは持たせるか、持たせな

いかが、たった今存亡の分水嶺に 立っている人類の運命を決定づけるものであります。

  いやいや分水嶺はとっくに過ぎて、滅亡の方向に下り坂であります。 して見れば問題は、存続の

方向に挽回可能のうちに持てるか 持てないかであります。

 頭を澄ませ雑念を払って、静かに思いめぐらしなさい。 人類はこれまでもじっと手を拱(こまね)
いていたのではないことを。

 それにもかかわらず、その努力と期待との正反対に、不幸と不安と不平と 不満と、揚句に自己解体

を招き寄せたのであります。  

 この、目的と結果の何と大きい食い違い!!  

 これは何を物語るものでしょう?

 立脚基盤そのものに誤りがあれば、いかなる目標も、指針も、実行も発見も、発明も、成功も、進

歩も、努力も、しょせん「転落の滝壷(たきつぼ)に突進する笹舟の上の、子供の戯(たわむ)れで

しかない」ことをはっきりと物語っているものであります。

 こうした時代性から、人類幾千年来の根本無明を払い、いわゆる原罪というものの正体をはっきり

と見究めて、罪業の大河から解放されるたった一度の機会が示されようとしているのであります。

 この機会を素直につかんで、
 笹舟を岸につなぎとめ、しっかりと大地に立ちなさい。

 

慧日(霊鷲)