字に真理あり

字に真理あり


秘密の秘という字があります。元は「祕」と書いたそうです。二つに分けると「示」と「必」となり、必ず示す、あるいは必ず示されるとも読めます。

 「これ絶対に秘密だから誰にも言わないでね」と約束させて打ち明けて、後で噂が広まってしまったことありませんか。仕事場での冗談にこんなのがあります。会社の回覧文書を読まない社員が多くて困った社長が一計を案じました。文書の表紙に「極秘」のスタンプを押したのです。結果は全員が読んでくれたというものです。隠すから暴かれるという仕組みになっているようです。秘密だから言わないでねと打ち明けると相手はまた他の人に同じことを約束させて伝えます。どうでもいいことと違い秘密なので皆しっかり聞きます。だから「ちゃんと伝わって」いくわけです。そのへんの心理を知っている誰か賢い人が作った字なのかしら。どうなんでしょうね。


 信頼とか信用の「信」という字があります。二つに分けると「人偏(にんべん:人間の意)」に「言」となります。人の言(ことば)と読めます。あなたは人の言葉が信用できますか。
 「絶対に返しますから百万円貸してください」と知人に頼まれました。真剣に言っています。嘘をついているとは思えません。それで貸したところ、返すつもりだったのが入ってくるはずのお金が入らなくなってどうしても返せなくなったと後に言われました。嘘をついてはいなかったのですが、思惑が外れたのです。人間は全知全能ではないので間違いを犯します。勿論嘘もつきます。その人間の言葉と書いて信用の信という字になっているのです。あらかじめ警告されているわけです。


 何かが足りないことを「欠如」と言います。欠けているというのは理解できますが、次の如というのは何でしょう。「の如く」の「如」です。欠けている如くというのは、「実際は欠けていない」という意味です。一体どっちなんでしょう。簡単な算数をしてみます。10−5=5 ですね。10から5を取ってしまうと5しか残っていないと思うことも出来ます。でも引いた5はあるわけです。何も消えたわけではありません。道に千円札を落としてしまった。あなたは千円無くしたのですが、拾った人は千円入ってきたわけです。無くなってはいません。欠けているというのは一つの見方です。欠けた側の人の考え方次第で変わります。それであたかも欠けているかのようだがそうではないと欠如という熟語が言っているように思えます。難しく言うと「エネルギー不滅の法則」という真理を表しているのではないかしら。


 偽りという字があります。嘘という意味です。二つに分けると「人」と「為」です。人が為す(行為)ことと読めます。人が為すことは嘘だと言っているのです。他の読み方もあります。
「あなたの為を思って言っているのよ」というセリフがあります。「人の為」と言ったら「偽り」だとなります。何を隠そう実は自分の為に自分が都合の良いようにと言っているわけです。


あなたも身近に使っている字を時々分けてみませんか。面白いことが発見できますよ。


2004/09/14