八月のご挨拶 教えのタイムカプセル 地獄を味わう



八月のエッセイ

 

教えのタイムカプセル

 

 今年2月以降少しさぼっていて、あまりコンテンツを更新しなかったのですが、この頃

少し書く気が出ました。命波の先輩が亡くなられた頃と時期を同じくして急に字分けに精

が出るようになったのです。これは亡き恩師の小田野先生が助けてくださっているのでは

ないかと、そんな気がしております。

 師とはありがたいもので、時間が経つにつれ後から分かってくるようなことまで教えて

いって下さったということに気がつきました。いわば教えのタイムカプセルです。年齢と

共に興味を持つ対象や、対応すべき問題が変化してくると、気づくことの内容も変化し

す。しかし、どのような変化があっても、応用が可能な柔軟な思考が出来るような基礎を

教えて頂いていたのです。

 基礎とは考える力です。いつでどこでも決して離れることもなく、また誰も剥奪できな

いものが、考えるという力です。

これだけは各々の人に与えられた天の恵みで、誰にも奪うことは出来ない。おまけに費

用はかからないし、どこかへ出かけていく必要もない。今すぐ出来ることだ、と先生が言

われたことがあります。

考える力の基本は、誰が何を言おうと、言ったろうと、それを決して鵜呑みにせず、出

来うる限り自分で考えてみるということだと教えられました。ちょうど幼児が、初めはヨ

チヨテ歩きでもだんだん上達するように考えるということにも熟練が要ります。そして先

入観を持たずに、毎回新たに降りかかる課題をひたすら真面目に検証するという姿勢を持

つことだと教えておられたのだと思います。すぐに誰かに頼ったり、問題が無いふりをし

たりというようにごまかすと、次にまた問題がでた時、またごまかさなければならなく

り、いつまでたっても熟練しないということです。

生きていく途上で人に降りかかる課題とは多くの場合無視できないような種類の不都

合、不具合です。

例えば、病気や体の痛み、経済的苦境、人間関係の極度な悪化などです。どれも無視は

できません。脅威に出会ったダチョウが砂に頭を突っ込んで、無いと思い込もうとするよ

うな手法では解決しません。果敢に取り組む以外に方法はないのです。

果敢に取り組む際に大いに助けとなったのが、字分けです。字分けとは己の先入観を鏡

に映すように客観視することを可能にする手法なのです。先入観から開放されると、あっ

と驚くような解決法が閃くことがあるものなのです。今まで一度も考えて見なかったよう

な新しい視点で問題を見ることができるからです。

 

2007/07/21