自然のサイクル:リサイクル

 私は子供の頃不思議でならないことが沢山ありました。まず、茶色い地面から何故赤いトマトや黄色い瓜や白い花や青い花が出てくるのかとか、同じ地面から出てきたのに甘い苺や酸っぱいレモンや辛い唐辛子があるのだろうとかです。原始転換とかDNAなんてことはずっと大人になってから解ったことです(実は未だによく解りませんが)。子供のように言えば、同じ材料から出来ているものがその並び方とかくっつき方とかが違うと別の物が出来上がるということです。同じ材料とは原子を構成している素粒子のような極微の質量です。くっつき方とは分子構造のことです。並び方とはDNAの4種類の塩基のどの三つ組(コドンといいます)の全部で64種類ある組み合わせの部分が起動していて、どの部分が休止しているかということです。要するに基の材料は同じです。

 このように小さい単位にまで分解して考えると何一つ余計なものとか邪魔なものはないということがわかります。ゴミは分解すればまた他のものに生まれ変わって来れるわけです。一見分解しそうもないゴミ、例えばコンクリートの瓦礫ですが、これを分解するバクテリアがあるそうです。アルミサッシが腐食するの知ってますね。だって錆びますから。錆びるというのはそのうち分解されてしまうということです。時間はうんとかかるでしょうけれど。

 自然は何も無駄にせず、捨てずに全部リサイクルしているのです。ただ分解におそろしく時間がかかるものはたいてい人工の物です。西瓜の皮は地面に埋めると一日で分解されてしまいますが、プラスチックは何千年かかるのでしょう?あなたは会社で一日8時間とか10時間とか働きますね。学生ならその位勉強します。それで十分疲れますね。バクテリアは一日24時間、週7日、無休で(しかも無給で)働き続けていますが、これで分解するのに何千年もかかるとしたら、考えただけで疲れます。エネルギー不滅の法則というのがあります。物理です。エネルギーはいろいろな形に変換されますが、地球がリサイクルに要する各種の仕事をするのにもエネルギー変換を行っているのです。厖大な時間のかかる分解作業が余計に増えるほど他にまわすエネルギーは減るとも言えます。簡単に言うと、地球も疲れるのです。

 私たちが住まわせて頂いている地球が疲れないように、私たちでできることの中で特に大事なのは人工の分解されにくい物を極力使用しないということです。これはちょっと気をつければ簡単にできることです。反対に地球にとって人工物の分解作業はおそろしく根気の要ることなのです。


2001/06/16 静流