〜5月のエッセイ 1 〜 〜5月のエッセイ 2 〜

正直者はバカを見る


 汚職をした疑いで審問を受けて、 「全く知りません。金品の授受は秘書の仕事ですので」とか、

 所得隠しの疑いに対し、 「ちっとも知りませんでした。税務は経理士に一任してますので」とかいう抗弁をテ レビで聞いている私たち視聴者はほとんど全員が内心で、 『バカだなあ。嘘つきってみんなが思っているのに』と思っていませんか?

 正直に過ちを認めて、あやまって(あやまって済むものではないのは別として)そ れからどうつぐないをしたらいいか潔く結果を待てばいいのになあと思います。そう すれば楽になると思うからです。汗をかきかき必死に抗弁している人のほとんどはと ても苦しそうで、顔色も非常に悪く、おまけに人相もあまり良くありません。とても 魅力的とは言いがたい容貌になってしまっています。反対に見ていると気持ち良くな るほど清清しく輝いているような人がいます。公明正大さはちゃんと様子にも表れて いるものだと思います。

 さて、どちらの人が愛され尊敬されていて本当の友達に囲まれていると思いますか? 古くから言われている本当の友達の見分け方というのがありますね。『苦境にあって も決して変わらず傍にいてはげましてくれる人』というものです。逆は『金の切れ目 が縁の切れ目』というものです。心から愛し思い遣ってくれる人が一人もいない人生っ て淋しい限りですね。おまけにバレたら大変という冷や汗ものの秘密をかかえて、バ レているのにいろいろな社会のしがらみから本当のことが言えなくて、あんまり苦し いので見ている方まで苦しそうだと分かるほどまでになっちゃった人生がいいですか?

 答は明らかでしょう? 明らかに正直な方が心安らかで、友達にも愛されているの にそうしない方がバカだと思います。

 正直者は嘘つきを見て、バカだなあ、というわけで、『正直者はバカを見る』とい うことになるわけです。 おしまい。


2001.5.5 静流