〜5月のエッセイ 2 〜 〜5月のエッセイ 1 〜

フンコロガシ賛歌


 目立たない人というのがいます。その反対の、宴会や集会で周りに人だかりがして とても華やいでいる人に対し、いたのかいないのか後で人が覚えてもいないような人 です。当然多くの人にモテたりチヤホヤされたりもありません。

 目立ちたがりという人もいます。目立ちたがりが前者のほうだったらさあ大変。わ ざと大声をだしたり、笑ったり、奇矯なふるまいをしたり、ゴテゴテに着飾ったり、 賢そうなふりをして何か言ってもちっとも受けなかったりで後でみじめになって落ち 込んでしまい、暗いので余計にモテない要素が増えます。

 ドキッとした人いますか?
 でも大丈夫。素敵な解決方法があるのです。最後の段落に書いてあります。

 フンコロガシを神様のように祀っている種族がアフリカにあるそうです。 フンコロガシがいなかったら、腐った糞だらけで疫病が流行ったりするかもしれない し、だいいち臭くてしょうがないでしょうね。

 普通だれもがやりたがらないような仕事を当たり前のこととしてしている生き物が 地球上にはいろいろいます。死肉を片付けてくれるハイエナや、なまゴミを分解して くれる微生物などです。ありがとうっ!

 人間にもそういう人がいます。縁の下の力持ちとい言われる人です。目立たないの でふだんは無視されていますが、どっこい、そういう人をきちんと見ている人もいる のです。たいていは人生経験豊富な賢い人達です。それから実は目には見えないけど 私達を生かして下さっている至高の叡智という存在です。こっちは信じていなくても ちっともかまいません。ともかくも賢い方の人達が認めているわけです。賢い人達と いうのはすぐにぐらつくような評価をしません。パーッとモテてさっと冷めてしまう ような人気と違いじっくりモテるわけです。数が少なくてもそういう人にモテれば十 分ではないかしら。

 ですからフンコロガシのようになろうと思えばいいのです。そしてなるべく目立た ないように気をつけます。気配を消して、なるべく静かに、心を平らかに保つように します。心が静まったら周囲の人々を観察します。悲しそうな人、淋しそうな人、内 気そうで場違いに見える人がいたらはげましの気を送ります。そう思うだけで気は行 きます。笑顔をむけたり、話しかけたりもいいでしょう。大声をださないのは勿論の こと派手な身ぶりもさけます。相手が引いてしまうかもしれませんから。賢そうなこ とや面白そうなことを言おうと思ってあせるかわりに相手の話をしっかり聞いてみま す。そうしていたら欲求不満もなく楽に生きられると思います。私は経験者ですので。


2001.5.5 静流